物性、反応性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/04/12 04:05 UTC 版)
カルバニオンは求核剤である。カルバニオンの安定性や反応性はいくつかの要因により決まる。例えば、 誘起効果中心炭素の近傍に電気陰性度の高い原子や電子求引性基が存在すると、カルバニオンは安定化される。トリフルオロメチル基によるカルバニオンの安定化は、この効果による。 混成中心炭素の s 性が高い場合、カルバニオンは安定となる。 (安定 ← sp > sp2 > sp3 → 不安定) すなわち、アセチリドアニオンは比較的安定である。 共役・共鳴共役・共鳴の効果により、カルバニオンは非局在化・安定化される。ベンジルアニオン、シクロペンタジエニルアニオンなどで、その効果は著しい。β位にケイ素などのヘテロ原子が存在する場合、α位の炭素との結合にともない生じている σ* 軌道が、カルバニオンの孤立電子対を安定化させる効果がある。 カルバニオンの安定性は、共役酸の pKa 値(酸解離定数 Ka を対数化した値。-log10Ka)で評価される。 カルバニオンは E1cB 脱離反応などの一時的な反応中間体として、有機反応にあらわれる。また、グリニャール試薬、有機リチウムなどの形で、有機金属化学にあらわれる。しかし、安定な「真の」カルバニオンが単離・結晶化された例がある。1984年に Olmstead らは、ジフェニルメタンと n-ブチルリチウム、 12-クラウン-4 から、ジフェニルメチルアニオンのリチウム-クラウンエーテル塩([Li(12-crown-4)2][CHPh2])を得た。その結晶構造では、通常の有機リチウムとは異なり、リチウムイオンはクラウンエーテルに取り込まれてしまっているため、カルバニオンはほぼ裸の状態で存在している。また、2個のベンゼン環と共鳴・非局在化するために、そのカルバニオンは sp2 混成の平面型をとっている。同著者らは、トリフェニルメタンからも同様の結晶([Li(12-crown-4)2][CPh3])を得た。
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物性、反応性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/04/24 13:50 UTC 版)
カルボニル化合物とは異なり、イミンにはシス-トランスの立体異性体が存在する。窒素上の置換基が水素である場合はその異性化は速く分離が困難であるが、置換基の種類によっては安定な異性体を単離できる場合もある。 シッフ塩基として、金属イオンやルイス酸に窒素の孤立電子対を与え、錯体を形成する。プロトンか有機カチオンがイミン窒素上に結合したイオン R''-C(=N+RR')-R'''は、イミニウムカチオン (iminium cation) と呼ばれる。 一般的には電子不足となっている炭素で求核付加反応を受ける。一方、ごく稀に窒素原子を反応中心とした求核付加反応も進行し、これはイミンの極性を逆転させなければ起こり得ない高度な反応であり極性転換反応あるいは極性変換と呼ばれている。 イミノ炭素上に求電子的な置換基を有するイミンは容易に加水分解を受け、対応するカルボニル化合物(ケトンまたはアルデヒド)とアミンに戻る。この加水分解は酸触媒で加速されるが、立体障害の小さいイミンやアルジミンは中性条件下でも容易に分解されてしまう。 α炭素に水素を有するイミンは、エナミンとの間に互変異性(イミン-エナミン互変異性)を持つ。そのため、アルドール縮合などの反応が可能である。 イミンを水素化アルミニウムリチウム (LAH) などで還元、あるいは水素化するとアミンが得られる。
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