潜水艦と潜水艇
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 02:40 UTC 版)
使用目的による名称・機能の違い 潜水艦 : 軍事用の大型水中艦 潜水艇 : 軍事用・民間用の小型水中船 軍用の潜水艇では旧日本海軍の「甲標的」「蛟龍」「海龍」、ドイツ海軍の「ビーバー」、北朝鮮の半潜水艇などがあり、工作員が陸地に潜入する際には水中スクーターも使われる。 軍事用潜水艇は特殊潜航艇と呼ぶ場合もある。 第二次世界大戦時には対艦攻撃を主任務としていたが(特殊潜航艇参照)、戦後は特殊部隊の運搬・支援を目的とする事が多い。一部の潜水艇は潜水艦乗員の訓練(韓国)や魚雷発射訓練の標的(スウェーデン)、セイルを追加装備して通常潜水艦として運用(クロアチア)される事もある。北朝鮮、ロシア、ユーゴスラビア、パキスタンなどが多くを保有するが、イタリアには特殊潜航艇時代からの老舗メーカーが存在している。また、60年代に起きた潜水艦沈没事故をうけ、沈没した原子力潜水艦などから乗員を救助する『深海救難艇』も開発され、潜水艦隊を運用している先進国で万一に備え配備されている。 アメリカ海軍はこの種の装備に消極的であったが、昨今は特殊作戦の必要性からSDVおよびASDSと呼ばれる一種の潜水艇を開発・運用している。これらは原子力潜水艦を母艦として発着する事ができる。 アメリカ海軍のNR-1は西側諸国最小の原子炉を搭載した珍しい小型『核動力推進潜水艇』で、海軍引き渡し当初は「原潜用原子炉の研究」や「学術的深海探査」等が目的とされていたが、最近になり情報公開や書籍の登場により、実は建造当初より『極秘作戦専用原子力潜行艇』として開発されており、アメリカ海軍及びNATO海軍潜水艦隊のための「海底ロラン」の設置、空母での発着訓練中に海没したF-14と共に深海に沈んだAIM-54 フェニックス空対空ミサイルの回収など「軍事機密保持作戦」や諜報活動に当たっていた事も明らかになっている。 近年では南アメリカの麻薬密売組織などが、アメリカ沿岸警備隊の目をかいくぐるため、麻薬密輸用潜水艇を使っての麻薬密輸事件が増えている。2019年7月10日に麻薬を積んだ半潜水艇がアメリカ沿岸警備隊に摘発されたほか、2021年3月12日にはスペインの警察当局が麻薬を運搬するためにマラガで建造された青い潜水艇を押収したことを公表した。
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