法案の設立までの経緯
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「高校授業料無償化・就学支援金支給制度」の記事における「法案の設立までの経緯」の解説
国際人権規約の、高等学校・大学等(専門学校も含む)の学費無償化を求める部分を留保していたのは、日本とマダガスカルの2国のみとなり、早期に国際水準に追いつくことが求められていた。ただし、鈴木寛議員は国会での質疑に対し、高校の無償化は、義務教育化とは一線を画す物だとしている(議会において本法案についての民主党側発言者のほとんどが鈴木議員である)。 当初は、日本国憲法や私学助成制度の問題で、二分の一条項というものがあり、学説によってはそれを超えて私立学校に支援を行えないとされていたため、学校側への給付ではなく、家庭への給付とすることによって、法律上のハードルを乗り越えるという意図があり、家庭への給付を想定していた。しかし、その後文部科学省や地方自治体などからの要望で、自治体を経由して学校側に給付することが確定したため、必ずしも強固な法的障害があるわけではなかったことが分かる。 また、民主党関係者は読売新聞に対して、「負担軽減を実感してもらうには直接給付(家庭への給付)」と本音ものぞかせている。一方、逆に学校給付になったことに対して、民主党は「マニフェスト以上のことができた」と自ら評価している。 2009年(平成21年)の第171回国会の参議院に提出されたもの(第一七一回 参第七号)は、参議院では可決されたが、衆議院では解散により審査未了となった。この第171回およびそれ以前の法案では「国公立の高等学校における教育の実質的無償化の推進及び私立の高等学校等における教育に係る負担の軽減のための高等学校等就学支援金の支給等に関する法律案」との名称であり、20歳以下の高校生の保護者に対し、就学支援金を支給するという内容だった。現行制度との違いは、年齢制限と、支給対象者である。 保護者に対する給付とされていた時期は、すでに授業料免除となっている生徒の場合の取り扱いについては明確に決まっていなかった。(減免対象者にも給付すると生徒側に収益が生じてしまう) 学校給付方式に変更後、自治体によっては、すでに減免の対象になっている生徒についても、整合性を取る形で、規定を設けている場合がある。 教育現場では無償化は長年の悲願であったといわれる。また学制改革後の新制高校制度発足時には、将来的には無償化や全入が予定されていたとされ、60年越しに実現した。 2008年3月18日 - 1回目の法案が参議院に提出された。 2009年3月25日 - 2回目の法案が参議院に提出された。発議者は福山哲郎、鈴木寛、水岡俊一、藤末健三、植松恵美子、大島九州男。 4月23日 - 参議院文教科学委員会で可決。 4月24日 - 参議院本会議で賛成132、反対103で可決。同日、衆議院に付託。 7月21日 - 衆議院での審査未了のまま、衆議院解散。 8月30日 - 第45回衆議院議員総選挙。民主党が単独過半数を占め第一党となったため、実施の可能性が高まった。次期通常国会での成立を目指す。 9月14日 - 民主党と文部科学省が、世帯への支給から、自治体を通じた学校への支給に見直す調整に入ったと報じられた。 9月25日 - 保護者への給付から自治体を通じての学校への給付に転換すると報道された。川端大臣は家庭給付、文科省側は学校給付を主張していたが、大臣が方針を転換した。 12月23日 - 私立高校への支給額は世帯年収が250万円未満の場合は公立の2倍、250万円以上350万円未満の場合は公立の1.5倍となることが決まったと報道された。当初は、年収500万円未満は2倍とされていたが、収入基準を厳しくすることで予算を600億円弱削減した。 2010年1月14日 - 国費による無償化の期間は基本的に修業年限までとする方針であると報道された。それを超える分については自治体の裁量となる。支給期間の上限はこれまでの法案にもあったため、それを踏襲する内容。 1月18日 - 第174回国会開会。会期中に、子ども手当法案と共に、3回目の高校無償化法案も提出される。 3月12日 - 衆議院文部科学委員会で、3年後の見直し規定が付則に追加、強行採決により可決。 3月16日 - 衆議院本会議で可決。 3月31日 - 参議院本会議で賛成152、反対75で可決。反対会派は自民党・改革クラブのみ。公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律が成立。年齢制限はなくなっているが、いつごろどんな理由でなくす方針が決まったかは不明。 4月1日 - 法律施行。
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