法案作成に関する問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 05:19 UTC 版)
立法は国会の専権事項であるが、国会議員が自ら法案を起案することはほとんどない。法案のほとんどを占める内閣提出法案を官僚が作成するのはもちろん、議員立法も多くは官僚のサポートに依拠しており、成立法案でみると、閣法(内閣提出法案)が全体の85%程度を占める。 日本の政治家は選挙対策や、陳情、根回しなど、他の業務も数多く抱えている為、政策立案に時間を割くのは現実的に困難である。官僚は法律を起案すると所属省庁の大臣を通して国会に法案として提出する。大臣のほとんどは国会で多数を占める与党議員であるため、法案は形式上野党との審議が行われるものの、最終的には与党の賛成多数で国会を通過することがほとんどである。つまり日本の法律は現状として官僚の意のままに作られていると考えてよい。このようにして三権のうち行政権が極めて強くなる傾向を行政権の肥大化という。 これらの事務作業により官僚の労働時間が長くなっている。 なお、以上のような見方には有力な反論がある。特に自民党政権では、党の政務調査会の下にある各部会において、族議員が法案の修正を行うなどして内閣提出法案に影響力を及ぼしてきたとされる。部会での修正を経た法案は閣議にかけられた後、国会に提出される。与党議員にとっては修正の必要のない法案であり、野党もそれを認識しているので、牛歩戦術に代表される日程の遅延による廃案を狙った戦術が取られる。結果として国会の審議は空洞化し、井戸端会議と化しているのが実情である。
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