武庫川線転用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 23:09 UTC 版)
本系列のうち8両は2019年度より武庫川線用に改造されており、2020年度に阪神最後の赤胴車であった7861・7961形と7890・7990形を置き換えた。これに伴い不足する普通用車両は5700系(5711F・5713F)の追加投入で対応した。 武庫川線は2両編成で運用されるため、5511Fと5513Fの中間車に先頭車化改造を実施してそれぞれ4両から2両×2本に組み替え、ワンマン運転機器の取り付けを施工した。リニューアル車と同じく加減速性能の変更や床下機器自体の換装(制御装置のIGBT化等)は行われていないが、VVVF制御装置・SIV装置・ブレーキ制御装置の電子部品のオーバーホールが実施された。 先頭車化改造に伴って中間車の5601形(M1・M2)は形式変更が行われ、5901形(Mc1・Mc2)となった。先頭車の5501形も車種が変更され、従来のMc1・Mc2からM'c1・M'c2に変更された。5901形に設置された運転台の前面形状は9000系に準じているが、前面展望を楽しめるよう前面貫通扉のガラス面積が拡大されている。また先頭車化に合わせてパンタグラフはシングルアーム式として1両2基に増設された。先頭車化改造車同士の併結も可能であり、貫通扉には幌枠が設置されるなど、2編成を併結した4両編成での運転も考慮されている。これにより編成表記は5511F・5912F・5513F・5914Fとなっている。 5700系や5500系リニューアル車と同様に、各出入口に半自動ドアスイッチが追加された。このほか、各車とも車外スピーカーの新設と行先表示器のフルカラーLED化が施工されている。 西宮市内を走る武庫川線は、阪神タイガース(一軍)の本拠地である阪神甲子園球場と、二軍の本拠地球場兼練習場である阪神鳴尾浜球場(タイガース・デン)が近接していることから、車両の内外装は「野球」がテーマになった。2020年2月21日に先行2編成の5513F・5914Fのデザインが発表され、正式な運行開始日と残りの2編成の5511F・5912Fのデザインも6月に発表された。 既存先頭車・先頭車化改造車とも乗務員室後部にフリースペースが設けられ、既存先頭車側には手すりが、改造先頭車側には手すりとテーブルが設置された。テーブルの素材には、野球のバットにも用いられるヤチダモの無垢材が使用されている。 武庫川線用車両のシンボルとして「武庫川」のロゴが考案され、車両の前面と側面に配されている。これは「武庫川」の3文字の中に武庫川線の全4駅を示す丸マークを配置し、南北に走る路線を表す縦のラインで結んだものである。 なお、5513F・5914Fは2019年11月2日に尼崎工場で開催された「鉄道の日 はんしんまつり 2019」で一般公開が行われたが、この時は用途を伏せた状態での公開であった。 当初は2020年5月中の営業開始を予定していたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で6月以降に延期され、具体的な置き換えの期日は非公表であった。従来の赤胴車は2020年6月2日に運転を終了し、その後、廃車となった。翌6月3日から武庫川線での5500系の営業運転が開始された。 改造車の編成例と諸元は以下の通り。 武庫川線用5500系方向 ← 大阪梅田・武庫川 元町・武庫川団地前 → 形式5501形5901形5901形5501形車種M'c1 Mc1 Mc2 M'c2 車両番号5511 - 5513 5911 - 5913 5912 - 5914 5512 - 5514 自重34.0 t 35.5 t 35.5 t 34.0 t 定員(座席)127 (39) 125 (40) 125 (40) 127 (39) 搭載機器CP, SIV VVVF VVVF CP, SIV VVVF: 主制御器 SIV: 補助電源装置 (静止形インバータ) CP: 空気圧縮機 側面のフルカラーLED行先表示器 車体に描かれた武庫川線のロゴ 車内に設置された電光掲示板案内
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