栽培と入手可能性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/11 03:04 UTC 版)
「ドリアン (果実)」の記事における「栽培と入手可能性」の解説
ドリアンは熱帯(英語版)地域で栽培され、平均日中気温が22 °Cを下回った時に成長を止める。ドリアンの生態学的多様性(英語版)の中心はボルネオ島である。ボルネオ島では、ドリアン属(Durio)の食べられる種(D. zibethinus、D. dulcis、D. graveolens、D. kutejensis、D. oxleyanus、D. testudinarius)の果実が地元の市場で売られている。 ブルネイでは消費者がD. graveolens、D. kutejensis、D. oxleyanusといった種を好むため、D. zibethinusは栽培されていない。これらの種はブルネイに一般に分布し、D. testudinariusやD. dulcisといったその他の種と共に遺伝的に多様な作物源を構成する。 ドリアンはタイ原産ではないものの、タイは世界最大のドリアン輸出国である。タイは毎年およそ70万トンのドリアンを生産し、そのうち40万トンが中国および香港へ輸出される。マレーシアとインドネシアがそれに続き、それぞれおよそ26万5千トンを生産する。このうち、マレーシアは1999年に3万5千トンを輸出した。タイのチャンタブリー県は毎年5月初旬に世界ドリアンフェスティバルを開催する。この県だけでタイのドリアン生産量の半分を占める。フィリピンでは、ドリアン生産の中心はダバオ地方である。ダバオ市ではドリアンを呼び物にしたカダヤワンフェスティバル(英語版)が毎年開催される。 ドリアンは1960年代初頭にオーストラリアに導入され、栄養繁殖系(クローン)材料は1975年に初めて導入された。30を超えるD. zibethinusのクローンと6種類の他のドリアン属の種のクローンがそれ以降オーストラリアに導入された。中国が主要な輸入国であり、1999年には6万5千トンを購入した。続いてシンガポールが4万トン、台湾が5千トンであった。同年、アメリカ合衆国は2千トン(大半が冷凍)、欧州諸共同体は500トンを輸入した。中国におけるドリアン人気の高まりのため、価格は4年で20倍上昇し、2018年の市場規模は4億ポンド近くとなった。マレーシアは冷凍した丸ごとの果実の輸出について中国と協定をまとめて2019年に初めて輸出を開始した。それまではタイのみが中国への果実そのままでの輸出が許可されていた。 ドリアンは、一年を通して利用可能なパパイヤといったその他の熱帯果実とは異なり、ある季節に限った果物である。半島マレーシアとシンガポールでは、ドリアンの旬は通常6月から8月で、マンゴスチンの旬と重なる。 ドリアンの価格はその他の果物と比較して相対的に高い。例えば、シンガポールではD24(Sultan)や猫山王(Musang King)といった高品質品種に対する根強い需要により、2007年のドリアン果実のキログラム当たりの小売価格は8シンガポールドルから15シンガポールドル(5米ドルから10米ドル)であった。ドリアン1個の平均重量はおよそ1.5 kgであるため、価格は12シンガポールドルから22シンガポールドル(8米ドルから15米ドル)となる。仮種皮と呼ばれる果実の可食部(大抵は果肉と呼ばれる)の果実全体に占める重量はわずか15–30%である。またドリアン人気の高まりはマレーシア品種の猫山王の価格の顕著な上昇にも見られる。ドリアン農家のキログラム当たりの収入は2018年までに2リンギットから60リンギットとなった。そのためパーム油あるいはゴムよりもはるかに利益が上がる仕事になり、ドリアンプランテーションが増加した。それにもかかわらず、シンガポールの多くの消費者は家族で分け合うために一度におよそ6個のドリアンを購入するためにおよそ75シンガポールドル(50米ドル)をつぎ込むことを心から望んでいる。 旬のドリアンは主要な日本のスーパーマーケットで見付けることができるのに対して、西洋では主にアジア食料品店で売られる。
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