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DELTA (野球)

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/30 09:31 UTC 版)

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株式会社DELTA
DELTA Inc.
種類 株式会社
略称 DELTA
本社所在地 日本
171-0032
東京都豊島区雑司が谷3-3-25-504
設立 2011年
業種 サービス業
法人番号 3013303001826
事業内容 野球のデータ分析
代表者 岡田友輔(代表取締役)
資本金 1,000万円
外部リンク 公式ウェブサイト
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株式会社DELTA(かぶしきがいしゃデルタ)は、野球のデータ分析を行う日本の企業である[1]。主に、セイバーメトリクスを用いたプロ野球に関するデータ分析を扱う[2]

沿革

野球は、1球ごとの記録がスコアブックに残るスポーツであり、伝統的にデータが重視されてきた[1]1970年代アメリカ合衆国ビル・ジェームズセイバーメトリクスを提唱し、統計学的な手法を用いて野球というスポーツの構造や戦略を研究する試みが始まった[3]2000年代初頭には、セイバーメトリクスを活用することで資金力の乏しい球団が勝ち上がる様子が『マネー・ボール』に描かれ、その有用性が広く知られるようになった[1]メジャーリーグベースボールで各球団に導入されたセイバーメトリクスは、従来の常識を次々と覆し、試合の結果に加え、チーム方針や選手起用を含めて野球というスポーツを根本的に変えうる存在となりつつあった[3]。一方、岡田友輔によれば、日本ではヤクルトスワローズなどで監督を務めた野村克也のID野球などによって選手の攻め方といった戦術面に関しては細やかな分析がなされていたが、メジャーリーグのような戦略的・組織的なデータ分析は遅れており、また野球を見る側からも「データは画面を汚す」というようなデータに対する反感の声があった[1]

こうした中、自動車関連企業を退社した岡田は、2002年から日本テレビのプロ野球中継スタッフとしてディレクターやアナウンサーに提供するデータを調査する業務を担当し、プロ野球界にかかわるようになった[2]。その後、2006年にスポーツデータ解析・配信を担う企業・データスタジアムに入社した岡田は、セイバーメトリクスを専攻し、野球データの分析に関する経験を積み、2011年に合同会社DELTAを設立して独立[3]。DELTAを設立したのは「分析に力を入れたい」という理由からだった[2]

DELTA設立当初は、「プロ野球経験はあるのか」などと問われることもあり、野球経験が小学校までだった岡田はセイバーメトリクスへの無理解に苦しんだという[2]。しかし、書籍の出版などを通じて露出を増やしたことに加え、業務委託契約を受けた東北楽天ゴールデンイーグルス2013年に優勝したことで知名度と信頼度が上昇し、様々な球団からオファーを受けるようになった[2]。こうして地位を確立した岡田は、和製ビル・ジェームズなどとも呼ばれるようになった[4]。さらに、DELTAには複数のアナリストのほか、楽天から元選手の川井貴志や元戦略室長の上田顕らが加入[2]2015年に株式会社へと改組し、活動を続けている[5]

事業内容

主な事業内容は、データの販売、コンサルティング、インターネットサイトの運営、人材紹介の4つである[2]。特に、プロ野球の球団に対するデータ面でのサポートが中心である[3]。具体的には、プロ野球の数球団と契約し、データを分析したレポートを提供したり、球団の戦力評価に関する助言を行ったりしている[2]。このほか、データ分析に通じたアナリストが各球団を直接サポートするサービスも展開している[6]。また、一般の野球ファンに向けては、ウェブサイト「1.02 - Essence of Baseball」を公開し、有料でセイバーメトリクスに関する各種指標を公開している[6]

メジャーリーグにおける分析手法を日本に広めることで、野球データ分析の土台を作る活動も行っている[3]。例えば、ファンに野球の新しい楽しみ方を提供したり、野球界でデータ分析の業務を行う人材を育成したりする目的で、セイバーメトリクスを中心にした野球分析講座を開催している[7]。特に、2018年から2019年にかけては「リーダーズ・オブ・ベースボール・オペレーションズ」と題し、データ分析を担うアナリストや球団関係者らが、野球界への就職を目指す学生・社会人を指導するセミナーを開催した[4]。従来、プロ野球の球団スタッフへの就職は元選手や親会社からの出向に限られており、人材の多様性や流動性が損なわれているという課題があった[8]。しかし、DELTAのセミナーにより、初年度の2018年には受講者3名がプロ野球の球団に採用されることになった[4]。このセミナーは、DELTAが各球団に呼び掛けて実現したもので、DELTAの取り組みによってこうした人材登用の課題に風穴が空いたと評価されている[8]

2020年からは「ベースボール・アナリティクス・ナウ」と題して基礎から学べる講座をオンラインで開催している[7]。このほか、記者投票で選ばれるゴールデングラブ賞に対し、セイバーメトリクスを用いてアナリストが選手の守備力を分析して選出する守備の賞「FIELDING AWARDS」を独自に発表している[6]

なお、事業を遂行する本社は東京にあるが、プロ野球の1球ごとのデータを収集するための事業所を福岡に構えている[2]

主要関係者

脚注

  1. ^ a b c d e f g h i 北爪匡、小柳優太 (2019年2月27日). “大型補強はもう古い データ活用が変えるプロ野球”. NIKKEI STYLE. 日経新聞. 2021年10月26日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k 斎藤直樹 (2018年9月24日). “楽天Vで知名度↑、DELTA社岡田氏の講演に潜入”. 日刊スポーツ. 2021年10月26日閲覧。
  3. ^ a b c d e 山田井ユウキ (2019年7月16日). “ゴロとフライはどちらが良いか? 野球界の「常識」を変えたデータ分析の力”. TECH+. マイナビニュース. 2021年10月26日閲覧。
  4. ^ a b c d e DELTA社の岡田友輔氏、元楽天の川井貴志氏らデータの専門家が講演”. iza. 産経新聞 (2019年10月28日). 2021年10月26日閲覧。
  5. ^ 岡田友輔の記事一覧”. Yahoo!ニュース. 2021年10月26日閲覧。
  6. ^ a b c 守備データで選んだ“ベストナイン”はこれだ…アナリストらが独自に分析、選考”. スポーツ報知 (2018年12月15日). 2021年10月26日閲覧。
  7. ^ a b セイバーメトリクスを基礎から学ぶ…DELTAがオンライン講座を8月から開催”. スポーツ報知 (2020年7月25日). 2021年10月26日閲覧。
  8. ^ a b 伏見学 (2018年6月7日). “プロ野球界の人材登用に風穴 DELTAがビジネスマンなどに向けたセミナー”. #SHIFT. ITmedia. 2021年10月26日閲覧。

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