木造不動明王及童子像とは? わかりやすく解説

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木造不動明王及童子像

主名称: 木造不動明王及童子像
指定番号 3476
枝番 00
指定年月日 1998.06.30(平成10.06.30)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 彫刻
ト書
員数 2躯
時代区分 鎌倉
年代
検索年代
解説文:  天地眼、牙上下出とするいわゆる十九観様の不動明王立像に、矜羯羅とみられる童子跪坐像が随侍する構成で、現在この二躯のみ伝えられている。台座(後補)銘によれば作者湛慶で、京都東寺より移安されたという。
 不動明王像ヒノキ材の寄木造玉眼嵌入で、頭体幹部は左右上膊含み足〓まで通し、右目および胸部中央を通る線で矧ぐ左右二材より彫出したのち、頸部で頭・体を切り離し頭部を右にやや回転させて薄材を挟み接合したとみられる。頭体を通して内刳を施す。頭部面部をいったん割り離し両耳上で水平に鋸を入れ上下切り離したうえ面部を再接合する。腕は両肩割り矧ぎ左前半ば水平に矧ぎもしくはいったん切り離し)、両肘・手首で各矧ぐ両脚それぞれ裙との境目でいったん割り離す巻髪の各先端弁髪遊離部、右肘外側、正・背面の条帛垂下部、右裙裾、腰帯結び輪および垂下部、右足外側を各矧ぐ。臂・腕・足釧は各銅製表面は錆下地彩色仕上げ肉身部は青色彩、髪は赤茶切金毛筋を表す。着衣には、条帛(地色不明)に切金斜格子文地文とする切金の団花文、裙(赤地)に切金七宝繋文を地文とする銀泥の団花文、腰帯白緑地)に切金七宝繋文など、種々の文様認められる
 童子像はヒノキ材の一木造、錆下地彩色仕上げ現状古色)で、頭体幹部は両手先後半まで含み一材より彫出、面部割って内刳施し玉眼嵌入する。両肩以下を割り矧ぐ両手先前半、両足部(横一材)、両腰脇、上膊に巻く帯と腰帯の結び部を各矧ぐ肉身の色は不明で、条帛や裙にわずかに切金文様残っている。
 不動像の左肘を屈し、掌を仰げて羂索執る形は、立像では文治二年(一一八六)運慶作の静岡願成就院像(重文)に始まり以後作例にしばしばみられるが、腰の捻りと裙裾のなびく方向通例と逆で、また製作途中まで顔を左方向けていたと推定されることからすれば、やや変わった像容不動像として構想されたかとみられる。左胸前で条帛末端を結ぶのも不動では類例を見いだせない。
 胸腹部や腰まわりに分厚く肉付け施したたくまし像容には願成就院像や、同じく運慶作の神奈川浄楽寺像(文治五年〈一一八九〉)に通じ特色うかがえ修理銘のいう湛慶作は信じられないにせよ、作者運慶周辺仏師求めるべきであろう各所にたぐれや翻りをつくるなど、変化に富んだ衣文の彫法に特色がある。側面観において意外に動き少ない姿や、彩色切金多分に藤原風をとどめた優美な趣致からみれば、製作年代一二世紀末下らないものと思われる
 童子像は髪や着衣彫り口、切金文様などが不動像と酷似し両者一具であることは疑いない。坐像矜羯羅童子白描図像には例があるものの、彫刻としては他に遺品をみない。
 童子像の面部などに補修の手加わっているのが惜しまれるが、鎌倉時代初期慶派による異色作として注目される



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