旧和中散本舗とは? わかりやすく解説

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旧和中散本舗

名称: 旧和中散本舗
ふりがな きゅうわちゅうさんほんぽ
種別 史跡
種別2:
都道府県 滋賀県
市区町村 栗東市六地蔵
管理団体
指定年月日 1949.07.13(昭和24.07.13)
指定基準 史6
特別指定年月日
追加指定年月日
解説文: 旧東海道草津宿石部宿との間にあり、薬種和中散製造販賣したところで、建物東海道挾んで南北二部に分たれる。南部主要部であつて、その向つて右は店舗仕事場及び住居充てられ、店舗には看板湯沸釜等旧時のまま存し土間隔てた仕事場には木製動輪歯車によつて操作される製薬用の石臼がある。これに連つて左側には正門玄関設けた座敷構の部分が、街道向側には馬繋ぎ薬師堂控家がある。
当家慶長年間この地に来住したと傳えられるが、主屋略々その項の建物称せられ、座敷構の部分及び控家はこれに後れて建てられたものと認められる
一に中の本陣とも言はれ、東海道名所図会にも描かれている程著名で、その堂々たる建物今なお街道偉観称することが出来産業史、又交通史の遺跡として極めて貴重である。
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旧和中散本舗

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/29 15:06 UTC 版)

旧和中散本舗の図(東海道名所図会)

座標: 北緯35度01分29秒 東経136度01分07秒 / 北緯35.02472度 東経136.01861度 / 35.02472; 136.01861

旧和中
散本舗
位置

旧和中散本舗(きゅうわちゅうさんほんぽ)は、滋賀県栗東市六地蔵にある、江戸時代以来、胃薬「和中散」を製造販売していた旧家である[1][2]。「旧和中散本舗」として国の史跡に指定されている(1949年7月13日指定)。また、主屋、正門、隠居所の建造物3棟が「大角家おおすみけ住宅」として国の重要文化財に(1954年3月20日指定)、庭園が「大角氏庭園」として国の名勝に(2001年1月29日指定)、それぞれ指定されている[3]

概要

旧和中散本舗が所在する六地蔵は、東海道草津宿石部宿の中間に位置する間の宿あいのしゅくであった。当地には「和中散」という胃薬を販売する店舗が5軒存在したが、なかでも大角家は「和中散本舗」を名乗り、本陣を兼ね、『東海道名所図会』にも描かれた著名な店であった。大角家は系図によれば、慶長元年(1596年)、300メートルほど東北の旧地から現在地に移ってきたもので、屋号を「是斎屋」ぜさいやと称し、当主は代々弥右衛門を名乗った。慶長16年(1611年)、当地を訪れた徳川家康腹痛を訴えたところ、典医が「和中散」を勧め、たちどころに快復したとの伝えがある[1][2]

建築

大角家の屋敷地は、旧東海道を挟んで南北に分かれている。南側の敷地には街道に面して切妻造の主屋、その左に表門が建ち、北側の敷地には隠居所、馬繋、薬師堂が建つ[4]

主屋は「店舗、製薬所、台所居間」部と、その左手奥(東)にある「玄関座敷」部からなる。「店舗、製薬所、台所、居間」部は、桁行十間(19.4メートル)、梁間九間(19.1メートル)、切妻造、本瓦、桟瓦及び銅板葺き。「玄関、座敷」部は桁行8.8メートル、梁間8.5メートル、切妻造、銅板葺きで、南面に突出部があり、桁行5.1メートル、梁間7.0メートル、入母屋造、桟瓦葺きとする。当家の系図によると、延宝4年(1676年)に家督を継いだ3代目の当主のときに建て替えを行っているところから、「店舗、製薬所、台所、居間」部は17世紀末、「玄関、座敷」部はやや遅れて18世紀前半の建立と推定される[5]

「店舗、製薬所、台所、居間」部は街道に面し、細い通りにわ(土間)を挟んで、左に畳敷きの「東みせ」、右に板敷きの「西みせ」がある。「西みせ」には木製の動輪、歯車、石臼からなる製薬機が残る。動輪は直径3.6メートルあり、この中に人間が入って回転させると、その動力石臼に伝わる仕組みになっている。これは実演販売のはしりとも言われている。「東みせ」の正面は摺揚戸すりあげど、「西みせ」の前は板戸引き込みで、全面開放できるようになっている。なお、当初は「東みせ」部分も板戸引き込みであった。屋根は上半が本瓦、下半が桟瓦で葺かれ、庇は銅板葺きとなっている。庇は出が1.6メートルあり、腕木と持ち送りで支えられている。「西みせ」の奥は土間になり、「東みせ」の奥は3列に部屋を設け、台所など10室がある[6]

「東みせ」の向かって左(東)には薬医門形式の正門(江戸時代中期)が建ち、これを入ると千鳥破風を構えた「玄関、座敷」部がある。「玄関、座敷」部は、「店舗、製薬所、台所、居間」部と接続しているが、家族の居住用ではなく、高貴な来客用の空間である。式台玄関を入ると「玄関の間」(10畳)がある。玄関正面の欄間には鶴亀の浮彫彫刻を嵌める。その奥は右が8畳、とこ・棚付きの「座敷」、左が6畳の「次の間」で、その奥が10畳、床・棚・書院付きの「上段の間」である。「上段の間」から見える、築山を備えた庭園は国の名勝に指定されている。明治天皇は、明治元年(1868年)、京から江戸へ向かった際と、明治3年(1870年)、孝明天皇三回忌のため東京から京都へ向かった際の2回、当住宅で休憩した。他にも太田蜀山人シーボルトらの著名人が訪れたことが知られる[7][8]

隠居所は桁行12.9メートル、梁間7.0メートル。南面に突出部があり、桁行5.9メートル、梁間6.9メートル、いずれも入母屋造、桟瓦葺きとする。6畳(床・書院付き)、次の間4畳、奥の間、仏間、台所、土間からなる。江戸中期の建築とみられる[2]

文化財

国の史跡

国の名勝

重要文化財

  • 大角家住宅 3棟
    • 主屋 附 製薬機一式
    • 正門 両袖塀付属
    • 隠居屋 附 古図1枚
    • 附 古来作事幷諸覚帳1冊

以上1954年3月20日指定。ただし、つけたり指定の「古図」と「古来作事幷諸覚帳」は1982年2月16日追加指定。

※上記の指定名称、指定年月日は文化財目録(滋賀県サイト)による。

交通アクセス

脚注

  1. ^ a b 高井 2002, p. 10.
  2. ^ a b c 鈴木 & 宮澤 1985, p. 87,88.
  3. ^ 文化財目録(滋賀県サイト)
  4. ^ 鈴木 & 宮澤 1985, p. 146.
  5. ^ 鈴木 & 宮澤 1985, p. 147.
  6. ^ 鈴木 & 宮澤 1985, p. 148,149.
  7. ^ 高井 2002, p. 10,11.
  8. ^ 鈴木 & 宮澤 1985, p. 148.

参考文献

  • 高井潔 『民家 上』淡交社、2002年。ISBN 4-473-01947-0 
  • 鈴木嘉吉監修; 宮澤智士執筆 『日本の民家万有ガイドシリーズ30』小学館、1985年。 

関連項目

外部リンク



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