日本法における定款
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/05 14:39 UTC 版)
日本法の場合、会社から一般社団法人や一般財団法人、特殊法人(日本銀行・日本放送協会等)に至るまで根本規則は定款と呼ばれる。かつての財団法人においては根本規則は「寄附行為」といったが、2008年12月の一般社団・財団法人法の施行以降は「定款」に統一されている。ただし、私立学校法の学校法人など根本規則が「寄附行為」となっている法人もある(私立学校法30条など)。また、宗教法人法の宗教法人のように「規則」となっている法人もある(宗教法人法12条など)。 定款の記載事項には以下の分類がある。 絶対的記載事項 法律の規定によって、定款に必ず記載しなければならない事項。これらが記載されていない場合は定款自体が無効となる。 相対的記載事項 法律の規定によって、定款に記載しなければ効力を持たないこととされている事項。定款に記載しなくても定款全体の有効性には影響しない。単に、当該事項が効力を有しないだけである。 任意的記載事項 定款へ記載しなくとも定款自体の効力には影響せず、かつ、定款外においても定めることができる事項。重要な事項について事を明確にする目的などで定款で定めることが多い。定款に記載することによって、定款変更の手続きによらなければ変更できなくなるため、変更を容易にできないようにすることができる。法律の規定に違反しない限り認められる。 民法に基づいて設立された社団法人(民法法人)については、この分類のうち任意的記載事項や相対的記載事項に関する条文が無かったため、その有効性等に学問上、疑義があった(ただし、判例は任意的記載事項の有効性は認めていた。)。しかし、民法の「法人」に関する規定は、2008年12月1日をもって廃止され、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下「一般法人法」という。)に改組されるに当たり、同法12条によって、一般社団法人ないし公益社団法人(≒現行法の民法法人)の定款にも任意的記載事項及び相対的記載事項が認められる事が明文化された。一方、会社法上の法人については、最初から上記の三つの記載事項の存在が予定されている条文がある(会社法29条、577条)。 絶対的記載事項の比較絶対的記載事項社団法人(民法)一般社団法人合名会社合資会社合同会社株式会社目的○ ○ ○ ○ ○ ○ 名称又は商号○ ○ ○ ○ ○ ○ 主たる事務所又は本店の所在地○ ○ ○ ○ ○ ○ 社員の氏名又は名称及び住所及び各社員の責任の限度に関する規定。× × ○ ○ ○ × 社員の出資の目的及びその価額又は評価の標準× × ○ ○ ○ × 発起人又は設立時社員の氏名又は名称及び住所× ○ × × × ○ 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額× × × × × ○ 発行可能株式総数× × × × × ○ 公告方法及び事業年度× ○ × × × × 資産に関する規定理事の任免に関する規定○ × × × × × 社員の資格の得喪に関する規定○ ○ × × × × (注意) 1 「各社員の責任の限度に関する規定」とは、合名会社は「社員の全部を無限責任とする旨」、合資会社は「社員の一部を無限責任社員とし、そのほかの社員を有限責任社員にする旨」、合同会社は「社員の全部を有限責任とする旨」の規定のことをいう。 a b c d 任意的記載事項である。しかし会社の公告方法は定款に記載のない場合には官報によってすると定めたものと擬制される。 以下では、会社法上の会社と一般社団・財団法人法上の一般社団法人・一般財団法人を例に説明する。
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