日本におけるボーナス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/05 06:05 UTC 版)
日本の労働基準法の本則には賞与の定義はないが、同法施行時の通達により、「賞与とは、定期又は臨時に、原則として労働者の勤務成績に応じて支給されるものであって、その支給額が予め確定されていないものをいうこと。定期的に支給され、かつその支給額が確定しているものは、名称の如何にかかわらず、これを賞与とはみなさないこと。」と定義されている(昭和22年9月13日発基17号)。 賞与も労働基準法上の「賃金」の一種である(労働基準法第11条)。月給などの一般的な賃金は「賃金支払の五原則」(労働基準法第24条)にのっとって支給しなければならないが、賞与の支給については労働基準法に定めがなく、法令上支給が強制されているものではないので、支給の有無やその計算方法、支給時期等は原則として各企業の任意である。もっとも、企業が制度として賞与を支給することを定める場合、「賃金支払の五原則」に基づいた支給基準や計算方法、支給時期等は就業規則に記載しなければならない(労働基準法第89条)。また労働契約の締結に際し、労働者に対して労働条件の明示事項として賞与に関する事項を明示しなければならない(労働基準法第15条)。 一般的な4月~翌年3月の1年間を事業年度とする企業では、4~9月までの企業の業績や従業員の実績、労働組合との交渉状況等を基にした賞与を12月に、10月~翌年3月までの企業の業績等を基にした賞与を6月に支給すると定めることが多い。そのため4月に新規採用された従業員に支給する最初の賞与(6月支給分)については、研修や試用期間の関係で全く支給されないか、低額(1ヶ月分未満)に抑えられる場合も多い。またこれらに加え、決算賞与として、決算月(3月)に支給する旨を定める企業も多い。 厚生労働省「平成29年就労条件総合調査結果の概況」によれば、賞与制度がある企業割合は90.1%となっており、そのうち、「賞与を支給した」が95.7%、「賞与を支給しなかった」が4.3%となっている。賞与制度がある企業のうち、賞与の算定方法がある企業割合は、管理職では81.0%、管理職以外では 83.8%となっている。そのうち、算定方法別に企業割合をみると、管理職、管理職以外ともに「考課査定により算定(個人別業績)」(管理職55.6%、管理職以外62.3%)が最も多く、次いで「定率算定(基本給全体が対象)」(管理職53.1%、管理職以外56.7%)となっている。賞与制度があり、賞与の算定方法において個人別業績を採用している企業における主たる評価基準別の企業割合をみると、管理職、管理職以外ともに「成果(目標)達成度」(管理職55.5%、管理職以外47.0%)が最も多く、次いで「職務遂行能力」(管理職24.5%、管理職以外25.1%)となっている。 日本の大手企業においては、毎月の賃金を低くし賞与を多くすることにより年収としては一定の額を達成しようとする給与体系の企業が少なくない。これは、賞与は基本給と比べて額の変動が大きく、人件費をコントロールする手段として適しているためである(好況期・業績好調時には賞与を多くして従業員の功労に報い、不況期・業績不振時には賞与を抑えることで、従業員の解雇を避けつつ人件費を抑制できる)。また割増賃金の算定の基礎となる額に賞与は含まれず(労働基準法第37条、労働基準法施行規則第21条)、退職金の算定に賞与を含まない退職直前の基本給額を用いる企業が多いため、賞与を多くすることにより結果的にこれらの費用を抑えることも可能である。
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