日本での重大インシデント
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/30 17:30 UTC 版)
「ボンバルディア機の航空事故とインシデント」の記事における「日本での重大インシデント」の解説
日本でQシリーズを運用しているのは、事故が起きたエアーニッポンネットワーク(ANAグループ)、 日本エアコミューター(JAC、JALグループ)、天草エアライン、国土交通省航空局、海上保安庁、オリエンタルエアブリッジ、琉球エアコミューターである。このうち、Q400系はエアーニッポンネットワークと日本エアコミューターの二社で、オリエンタルエアブリッジがQ200系、その他はQ300系を導入した。 運輸安全委員会によって重大インシデントと取り扱われたのは、オリエンタルエアブリッジのQ201 (DHC-8-201) および日本エアコミューターとエアーニッポンネットワークのQ402 (DHC-8-402) である。 これらの重大インシデントのうち、2004年11月21日に高知空港で着陸に失敗したANA1617便(エアーニッポンネットワーク運航)のQ402は、操縦ミスによるものであった。運輸安全委員会は事故原因を機長の操作が適切ではなかったこと、エアーニッポンネットワークによる訓練が適切ではなかったことによると発表した。 2008年8月12日に、JAC2409便(大阪国際空港発、鹿児島空港行)Q402で、離陸滑走中に左エンジン側の異音発生と出力低下により、離陸を中止した。負傷者はなく、エンジンの計器に異常はなかった。翌13日にカナダ政府とボンバルディア社は、国土交通省に対してエンジンの製造会社であるプラット・アンド・ホイットニーと協力しての調査を表明した。運輸安全委員会の報告では、離陸中に第1エンジンのドラムが脱落し、これが回転部分であるタービンのベーンに挟まったため、エンジンの故障を招いたと2010年2月に発表された。 2009年3月25日に長崎空港で離陸準備中であったオリエンタルエアブリッジ311便のQ201と訓練中であったエアフライトジャパンのパイパー PA-28 (PA-28-R-201)らは双方とも離陸と着陸の許可を受けたため衝突の危険が迫ったが、PA-28-R-201の判断で着陸を中止して復行したことで事故は回避された。使用中の滑走路への着陸を試みたことで重大インシデントと認定され、朝日新聞や産経新聞では管制ミスによるものと報じられた。2011年2月25日、運輸安全委員会は最終的に管制官がPA-28-R-201を失念したことによるものと公表した。管制官はQ201の後に離陸させる訓練機の話し合いに意識をとられ、訓練中のPA-28-R-201に着陸を許可を与えながら継続的視認を怠たり、PA-28-R-201を失念したままQ201に離陸の許可を出した。PA-28-R-201もまたフォワード・スリップ・ランディングという訓練科目のため通常の倍の高度をとって最終進入経路に入っていたことから、Q201から視認しにくい状況が生まれた。 2009年3月25日、JAC3760便(種子島空港発、鹿児島空港行)のQ402が左側プロペラの回転数や動きの制御システム、左側エンジンオイルの圧力低下を示す警告が点灯した。このため左側のエンジンを止め、右側エンジンのみで午前10時30分頃に鹿児島空港へ着陸した。エンジン内部のギアボックス接続部内にあるシャフトが1本折れ、ギアボックスのケース2か所に穴が開いていた他、タービンブレードにも複数の損傷が見つかった。国土交通省より重大インシデントと認定され、調査が行われた。結果、インプット・ギアシャフトの製造過程で異物が混入し、このギアシャフトが疲労破断を起こして脱落、その破片が飛散してエンジンケース、ブレード、ベーンが破壊されたことが明らかになった。運輸安全委員会はカナダ航空局に対し、品質管理の改善を勧告した。日本での該当エンジン搭載機に対する特別点検は2009年9月18日までに完了した。 同年7月23日にジャルエクスプレス2200便のダグラス MD-81 (DC-9-81)が大阪国際空港へ着陸し、駐機場に向かっていたところ、JAC2400便のQ402が着陸許可を受けて同じ滑走路へ進入中であったが、管制官の指示を受けて復行したため衝突の危険は回避された。運輸安全委員会の調査によると、DC-9-81は管制官からの待機指示を聞き取れず、管制官も復唱において誤りに気付かなかったため、DC-9-81は滑走路を横断して駐機場への移動を始め、既に着陸許可を受けていたQ402が同じ滑走路に着陸を試みる状況となったと発表した。
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