新視聴率調査(2020年~)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 04:13 UTC 版)
「視聴率」の記事における「新視聴率調査(2020年~)」の解説
ビデオリサーチは、2020年3月30日より新視聴率計画に基づき、視聴率調査の大幅なリニューアルを行った。多様化、分散化する視聴者像を明らかにするため、機械式(PM)の個人視聴率調査・タイムシフト視聴率調査を全国で適用し、関東地区での調査対象世帯を900世帯から3倍の2,700世帯に、関西地区では600世帯から1,200世帯に拡大している。「52週PM化」と呼ばれるこれらの施策により、全国の世帯・個人視聴率を安定して公表し、視聴者をより詳細に把握・分析できることが期待されている。また、番組全体の視聴⼈数を推計した「平均視聴人数」、番組を1分以上視聴した人数を推計した「到達人数」の提供も開始された。 少子高齢化の進展により、近年では高齢層が好む番組ほど世帯視聴率が高くなる傾向にある。そのため、各テレビ局は広告の取引指標を世帯視聴率から個人視聴率に変更し、「コアターゲット」とよばれる消費意欲の高い層を設定することで広告主のニーズに答えようとしている。例として、日本テレビは13~49歳を“コアターゲット”、フジテレビは13~49歳を“キー特性”、TBSテレビは13~59歳を“ファミリーコア”に設定、更に同局は4歳~49歳を”新ファミリーコア”に設定し重点ターゲットとしていくことを発表しており、これらの世代に向けた番組作りを進めているとされる。キー局以外では、テレビ朝日系列の準キー局である朝日放送テレビ(ABCテレビ・大阪府)は2019年から49歳以下をターゲットとする独自指標の“U49”を設定し、U49における視聴率が低い長寿番組の打ち切りを行うなど、新たな基準による番組編成を進めている。 一方、テレビ朝日はアクティブシニア層が含まれる50歳以上が日本における総人口の半分以上を占めている現状を踏まえ、19時台から22時台のゴールデン・プライムタイムは引き続き全年齢層をターゲットとした編成や番組作りに取り組むと明言しており、他の在京キー局3社を始め、系列局であるABCテレビの戦略とは一線を画している。 なお、ビデオリサーチが自社ウェブサイトで発表する個人視聴率は全世代を合計した"個人全体視聴率"であり、コア視聴率については外部公表していない。ビデオリサーチ以外では、カルチュア・コンビニエンス・クラブ関連企業のCCCマーケティングが独自の視聴データをもとにしたコア視聴層(13歳~49歳)の視聴率を公表している。 テレビ局側の視聴率指標は個人視聴率および各局が設定する「コア視聴率」に移行し、長寿番組でも躊躇なく打ち切る姿勢に転じたものの、視聴率を報じる新聞記事やネットニュースでは未だに世帯視聴率を前提に報道されることが多い。この事については放送関係者や芸能人から批判されており、実際にお笑いタレントの松本人志は「大前提として、ネットニュースで視聴率を記事にすること自体、やらなくていい」「世帯視聴率を用いたネットニュースの番組とかタレントの下げ記事は無視してください」とテレビ番組において述べているほか、日本放送協会(NHK)放送総局長の正籬聡も2021年の大晦日に放送した『第72回NHK紅白歌合戦』の世帯平均視聴率が歴代最低視聴率だったことを定例会見で問われた際に録画や動画配信サービス「NHKプラス」など、視聴媒体の多様化をあげた上で「世帯平均視聴率だけを見て判断するのは危険だと思う」「世帯視聴率オンリーでは一面的になってしまうし、視聴者のニーズに応えられなくなってくる」と回答している。
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