擬作・補作
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 04:57 UTC 版)
後世の人物が『源氏物語』の欠を補った作。作者自身が別人であることを明かしているか、別作者であることが明らかである形で伝えられているため、狭義の偽作には含まれないが関連して論じられることは多い。まとまった補作が存在する場所は下記のように限られている。 「桐壺」と「帚木」の間を補うもの『藤壺』(2004年、全1巻、瀬戸内寂聴) - 「輝く日の宮」を補完する短編。光源氏と藤壺が初めて結ばれるまでを書く。現代文のほか、古文体も併記。 「空蝉」と「夕顔」の間を補うもの『手枕』(1763年、全1巻、本居宣長) - 「桐壺」と「帚木」の間を埋める。六条御息所と光源氏の馴れ初めを書く。 「蓬生」前後の別伝『別本八重葎』(成立時代不明、鎌倉時代の成立とする見方もある一方、江戸時代成立の擬古文とする見方もある。作者不明) 「雲隠」の欠落を補うもの「雲隠」(雲隠六帖)(室町時代、作者不詳)-源氏の出家失踪を描く。 『源氏の君の最後の恋』Le Dernier Amour de Prince Genghi(1984年、短編集『東方綺譚』に収録、マルグリット・ユルスナール) - 「雲隠」を補完する短編。源氏の最期を花散里が看取る。 「夢浮橋」の後を補う後日譚『山路の露(やまじのつゆ)』(鎌倉時代、作者不詳、一説には建礼門院右京大夫とも) - 宇治十帖「夢浮橋」の後日譚。薫と浮舟の再会を書く。 『雲隠六帖』(「雲隠」を除く。室町時代、作者不詳) - 源氏物語の後日譚。1雲隠(源氏の出家失踪)、2巣守(匂宮の即位と薫、浮舟の結婚)、3桜人、4法の師(薫、浮舟の出家)、5雲雀子(薫の霊が息子に出家のすすめ)、6八橋(匂帝に帝位のまま悟るようにとの教え)、あとがき(康平元年戊戌年(1058年)正月大僧都、信誉のものと元応元年(1319年)9月藤原親兼の2系統)。 『雪のあした』(江戸時代、伴蒿蹊) - 惟光の孫惟豊が「夢浮橋」以後の出来事を語る。 『物がたり 夢浮橋の後をつぐ』(江戸時代、源直好) 『花を惜しむ詞 手習いの君になずらう』(江戸時代、橘千蔭) 『稲妻』(2000年、ライザ・ダルビー)- 同人による「紫式部物語」の下巻・巻末に収録。「夢浮橋」のあとを補う巻。薫と浮舟のその後を書く。
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