市町村合併の影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/04 07:42 UTC 版)
「日本の市町村の廃置分合」の記事における「市町村合併の影響」の解説
住民生活やサービスの利便向上 住民の生活行動圏に見合った行政サービスの広域化。通勤・通学、通院、買い物などの行動圏域は従来の行政区画を越えている場合が多いが、行政区域が広域化することによって住民票の写しの交付などの窓口サービスが勤務地や外出先などの近くで利用できるようになる。また、文化会館、図書館、スポーツ施設などの各種公共施設については、それまで利用に制限がある、利用料金に差があるなどした隣町の施設についても同条件で利用が可能となる。市町村行政に求められる機能も高度化・複雑化しているが、専門的知識を備えた職員を確保することにより専門的かつ高度な行政サービスを提供できるようになる。埼玉県ふじみ野市では合併特例債を活用し小中学校の耐震補強、大規模改修工事を行った。群馬県桐生市では専門的知識を持った職員が配属された。 地域づくりの契機 合併の議論を通じて自らのまちを見直す機会となる。合併後も、まちづくりビジョン実現のため、住民、諸団体の地域づくりへの主体的参画が期待される。富山市では合併で市内道路が整備された。静岡県藤枝市では一体的なブランディングによる広域観光拠点づくりがなされた。 行財政の効率化 個々の自治体が行ってきた管理業務を一つに集約することにより職員数や経費を削減する一方、新たな行政ニーズの発生している部門に充てることができる。職員数も人口当たり少なくなすることができるため、行政サービスの向上を図りつつ、人件費や経費を抑制することができる。町三役や市区町村など地方議員の総数が減り人件費が節減されたと評価がある。特に財政基盤の少ない小規模自治体は合併で財政基盤が安定した。ただし、合併で消滅する自治体においても退職年齢まで市町村職員の地位は法律で保証されているため、人員抑制・削減効果が期待できるのは合併後数年以上経過してからとなる。また、支所の配置方式によってもその効率化効果はかなり異なってくる。 議員数削減 平成の大合併で26市町村になった宮崎県の地方議員定数は2019年3月時点で387となり、平成の大合併前で44市区町村あった2005年7月の768から半減した。宮崎日日新聞は背景として合併で市町村の数自体が減ったことに加え、人口減少・財政難などで各議会で定数削減が推進されていることと報道している。 地域の集約化 合併後も旧過疎地域は人口流出と地域の衰退が止まらないことで、中心部から離れた過疎地域では合併への不満の声を持つ者がいる。佐賀新聞は、合併せずとも数件のための道路や橋、水道などの公共インフラの維持が財政的に困難になるときがやってくると指摘している。夕張市は人口減少しても「住み続けられるまちづくり」とし、主要道路沿いに集落を集約する計画を策定し、住宅の集約化を進めている。過疎地域の市民から集約化のために地域を離れることへの反発はあったが、市営住宅集約で維持費と暖房費削減、低層化で階段の上り下り負担軽減など住民にもメリットがある。
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