女子受験生・三浪以上に対する一律減点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/28 17:20 UTC 版)
「東京医科大学」の記事における「女子受験生・三浪以上に対する一律減点」の解説
「2018年における医学部不正入試問題」も参照 東京医科大学医学部医学科の一般入試において、女子受験者に対して得点を一律に減点することで、女子の合格者数を一定以下に抑えていたことが、2018年8月に「関係者の話」として報道された。その後、女子のみならず3浪以上の受験生にも減点が行われていたほか、例年5人前後の受験生に対し加点が行われていたことが明らかとなった。東京地検特捜部も文部科学省局長の汚職による不正入学事件(前述)の捜査過程でこのような操作があったことを把握し、大学側も内部調査による事実確認を進めている。8月8日に不正入学事件とこの件をあわせた調査報告書が公表され、そこでは臼井・鈴木の指示により少なくとも12年前(2006年)より入試の得点操作が行われており、同窓生の子弟らを入学させることで、寄附金をより多く集めたいとの動機があったことが指摘された。 東京医大がこのような点数操作を行った要因として、一般に女性医師は結婚や出産を機に離職あるいは休職したり、深夜勤務ができなくなったりすることがあるため、系列病院での医師不足を回避する目的もあったのではないかと報じられている。この問題について、病理専門医の榎木英介は低い窓口負担によって日本の特徴になっているコンビニ受診や患者側の求める利便の追求が医師の長時間労働や医療現場の疲弊を招いていることにも注目すべきだと指摘している。東京医大が行っていた受験制度の背景には、「男性の主治医が昼夜問わず付きっ切りになって診てくれる」ことを望む患者側の願望を、医療現場が忖度している現状があると述べている。榎木は抜本的解決案として日本における複数主治医制の導入を主張し、患者側が主治医が同一ではなくなっても「医者がコロコロ変わる」と批判しないこと、夜間や土日の説明などが受けられないといった不利益も甘受することといった患者側の意識改革を求めている。 2018年12月17日、特定適格消費者団体の認定NPO法人消費者機構日本は、消費者裁判手続特例法に基づき、東京地裁に東京医科大学に対する受験料返還義務確認訴訟を提起することになった(消費者団体訴訟)。2020年3月6日、東京地方裁判所は「告知を行わずに、ひそかに点数調整を行っていたことは、違法との評価を免れない」とし、大学は受験料などを返還する義務を負うとの判決を言い渡した。また旅費や宿泊費については「受験生の個別事情に立ち入って審理せざるを得ない面がある」として認めなかった。しかしながら、大学が不合格者名簿の大半を破棄していたため、返金手続きを代行する特定適格消費者団体のNPO法人消費者機構日本が、救済対象の受験生と連絡が取れない問題に直面している。機構によると、救済対象は約5200人に上るが、大学から提出された受験生の名簿は、追加合格者や重複を除き約400人分だけ。機構は「9月20日の参加締め切り日までに、どうすれば多くの対象者が気付いてくれるか」と頭を悩ませている。 2021年7月27日、東京医科大学と消費者機構日本は大学が機構に対し6800万円(元受験者559人分の計4750万円、機構の報酬約780万円等)を支払うとする内容で東京地裁で和解が成立した。2016年10月施行の消費者裁判手続特例法に基づく裁判で、手続きが終結した初めてのケースとなった。和解後の記者会見で、機構側の担当弁護士は、手続きの参加者が当初想定していた「約5200人」を大きく下回ったことに触れ、「いかに被害者を掘り起こしていくかが同種裁判の今後の課題だ」と話した。東京医科大学は「再発防止を徹底し、適切な入試に取り組む」とする理事長のコメントを発表した。
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