女子勤労挺身隊と慰安婦の混同
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 07:09 UTC 版)
「植村隆」の記事における「女子勤労挺身隊と慰安婦の混同」の解説
女子挺身隊とは、国家総動員法に基づく公的制度であり、植村が記事を書いた1991年の時点では、吉田清治が「済州島で軍の命令により、女子挺身隊として朝鮮女性を動員した」といった証言をしていたため、「朝鮮人慰安婦は女子挺身隊として連行された」という説が日本の学会で影響力を持っていたが、日韓のマスコミの中で最初に朝鮮人元慰安婦の証言を報じた植村の記事は、その説を裏付ける証人が出てきたと報じる結果になり、吉田清治の慰安婦狩り証言に信憑性を与える要因になったと非難をされている。 植村は記事を書いた時点で金学順が「だまされた」事例であることをテープ聴取で明確に理解していたにも関わらず、「女子挺身隊の名で連行された」と報じたことについて、1991年8月18日の北海道新聞も「(金学順さん自身が)『私は女子挺身隊であった』と切り出した」と記述していることを挙げ、「だから挺身隊というふうに、ご本人が言ったり、それから周りが言ったりしている。つまり、その場合の挺身隊というのは、勤労挺身隊の意味ではないんですよ。慰安婦のことを韓国ではそういうふうに言われている。」と、韓国では慰安婦を挺身隊と呼んでいることを把握していた旨の説明をしたうえで、韓国での用例に倣って慰安婦の意味で挺身隊という言葉を使ったとして、報道した内容に誤りはないと主張している。 植村の主張に対して、朝日新聞社は「女子挺身隊とは軍需工場などに動員した「女子勤労挺身隊」を指し、兵士らの性の相手をさせられた慰安婦とはまったく別のものです。」「慰安婦と挺身隊の混同があり、『主として朝鮮人女性を挺身隊の名で強制連行した』という表現は誤りでした」と結論付けており、記事の内容に間違いは無かったという植村の主張と食い違いが見られる。 朝日新聞第三者委員会の報告書で筑波大学名誉教授の波多野澄雄は、植村の記事について、吉田清治の慰安婦狩り証言が植村の記事以前から韓国でも知られていたことを挙げ、『朝日新聞の吉田氏に関する「誤報」が韓国メディアに大きな影響を及ぼしたとは言えない。むしろ、朝日新聞の問題点は、はるか以前から韓国内で定着していた「挺身隊」は慰安婦を意味するものとの理解について、その混同を明確に認識するソウル支局員がいたにもかかわらず、無批判に受け入れていたことにあろう。』と報告し、吉田清治による捏造証言よりも問題視している。
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