太陽の第一紀
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/18 14:22 UTC 版)
太陽が初めて昇った時、ヒルドーリエンでイルーヴァタールの次子である人間が目覚めた。モルゴスの間者たちはこれに気づくと、すぐに彼のもとに注進した。モルゴスはこのことを大事件と考え、副官サウロンにエルフとの戦いの指揮権を委ねると、暗闇の中密かにアングバンドを出発し自ら中つ国奥地に乗り込み、人間の心に影を投げかけた。そして恐怖と虚言を持って人間をエルダールの敵として東から彼らを攻撃せしめようと企んだ。しかしこの企みはなかなか上手く行かず完全には成就しなかった。この時点では人間は数が少なすぎたからである。そこでモルゴスは、あとの事を彼よりも劣る少数の召使いたちに任せて、アングバンドに戻ってしまった。 フィンゴルフィンの長子フィンゴンはマイズロスの親友であったため、彼が囚われの身になっていることを知ると単身、救出のためにサンゴロドリムの山をよじ登った。そこでマイズロスを発見するものの、近くによることは出来ず、マイズロスはフィンゴンに自分を射殺すよう頼む有様であった。そこでフィンゴンがマンウェに哀れみをこうと、大鷲の王ソロンドールがやって来てフィンゴンをマイズロスの近くまで運んだ。しかし魔法の鉄枷は外せなかったため、仕方なく右手首を切断し彼を助け出すことに成功した。フィンゴンはこの勲で名を上げ、そしてマイズロスがノルドールの上級王の王権をフィンゴルフィンに譲り、フェアノールが船を焼いて見捨てた所業を謝罪したために、両王家は再び団結することとなった。 ノルドールはドル・ダイデロスに見張りを置くと各地に使者を送った。シンゴル王はドリアスの魔法帯を彼らに開こうとはせず、フィナルフィンの血を引くものだけを中に入れることを許した。フィナルフィンの妻は、シンゴルの姪に当たるエアルウェンであったからである。そしてシンゴルはノルドール族にヒスルムとドルソニオン、それと無人の荒れ地であったドリアスの東の地に住まうことを許した。フェアノールの息子たち、特にカランシアはこれを聞いて怒ったが、マイズロスが窘め、その後間もなくマイズロス達はミスリムを去って、東の方の広い土地に移った。彼らはここにマイズロスの辺境国を築いた。太陽の出現から50年後、フィンゴルフィンの息子トゥアゴンとフィナルフィンの息子フィンロドは共に南に旅行した。その際夢という形でウルモの啓示を受け、何時か来るモルゴスの攻撃に備え、しっかりとした要塞を作るべきだという意味に受け取った。 ある時フィンロドとその妹ガラドリエルがシンゴルの許を訪れた時、フィンロドはシンゴル王の王宮<メネグロス>(千洞宮)を目の当たりにして、自分もこのような王宮を築きたいと考えた。そこでシンゴル王に相談した所、ナログ川の深い峡谷とその西側にある洞窟群のことを教えてくれ、道案内を付けてくれた。こうしてフィンロドはナログの洞窟群にメネグロスを模倣した王宮を後に築いた。これがナルゴスロンドである。この地を作るに当たり青の山脈のドワーフの手を借りたが、フィンロドは十分な報酬を支払った。その御礼にフィンロドのためにドワーフは後の世にも名高いナウグラミーア(ドワーフの首飾り)を贈った。 同じく夢の啓示を受けたトゥアゴンはウルモ自身からシリオンの谷間に行くよう命じられ、ウルモの案内で、環状山脈の内側にあるトゥムラデンという隠れた谷間を見出した。そしてその谷間の真中に石の丘があり、トゥアゴンは故郷ティリオンの都に倣った都市の設計にとりかかった。これが後のゴンドリンである。 ガラドリエルは兄フィンロドの王国には行かず、ドリアスに留まりメリアンとの語らいに興じる日々を過ごしていた。だが彼女はアマンでの出来事は二つの木の枯死、シルマリルの盗難、フィンウェの殺害には触れたものの、同族殺害やフェアノールの誓いのことなどは触れずに置いた。メリアンはマイアとしての洞察力でガラドリエルが何かを隠していると悟ったが、それ以上の追求はしなかった。この事については後に予期せぬ形でシンゴルの耳に入ることとなる。 モルゴスはノルドール族が戦争のことは余り念頭に無いようで、遠くまで旅に出たりと逍遥しているという間者の報告を聞き、敵の軍事力と警戒を試そうとした。北方の地は地鳴り鳴動し鉄山脈は火を吐いた。そしてアングバンドの大門前の大平原<アルド=ガレン>をオーク達が怒涛のように渡ってきた。ここにベレリアンド第三の会戦が起きる。 ダゴール・アグラレブ(赫々たる勝利の合戦) オーク達は西はシリオンの方を侵犯し、東はマイズロスとマグロールの土地に侵入したが、フィンゴルフィンとマイズロスは警戒に抜かり無く、オークの本隊の狙いはドルソニオンであることに気付き、これを襲おうとしているところを両側から挟撃し、モルゴスの召使たちを敗退せしめアルド=ガレンを渡って追撃し、アングバンドの大門前で一兵残らず殲滅した。かくの如くこの合戦は大勝利に終わったが、同時に警告ともなり、モルゴスに対する包囲を縮め、見張りを強化した。アングバンドの包囲の始まりである。
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