基本的概念
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/04 20:39 UTC 版)
まず、入出力を持ち、入力に対してある操作を行ったものを出力とするシステム(系)を考える。このとき、その出力が入力や操作に影響を与えるしくみがあるとき、これをフィードバックという。ここで、ある瞬間の入力と出力の関係を増幅率と呼び、特に帰還を行っていない場合の系の増幅率を「裸の増幅率」と呼ぶ。また、帰還として戻ってきた値が、最初の入力に対して何倍になっているかをループ利得という。 出力の増加が入力や操作を促進する場合を正のフィードバック、逆に、出力の増加が入力や操作を阻害することを負のフィードバックという。工学分野では、しばしば正帰還および負帰還と呼ぶ。なお、ループ利得は正のフィードバックでは正の値に、負のフィードバックでは負の値になる。正負とあるが、一般的な意味である「好循環」や「悪循環」という意味とは異なる。 正のフィードバックが働いている場合、フィードバック系の増幅率は裸の増幅率より大きな値となる。ここで特に系のループ利得が1を越える場合には、何らかの破綻が起こるまで出力は増大しつづける。これを避けるには、出力の増大に従ってループ利得が1以下となるような仕組みを導入する必要がある。また、ループ利得が1以上の時の特徴的な振る舞いとして、入力が途切れても出力を続けることが出来る、ということが挙げられる。この領域では初期値の違いが時間の経過にしたがって無限に引き伸ばされるため、僅かな初期値の違いがシステムの挙動を大きく変える(カオスとなる)場合がある。これは複雑性や多様性を生み出す原動力となりうる。 負のフィードバックが働く場合は、フィードバック系の増幅率は裸の増幅率より小さな値となる。この増幅率の余裕分の範囲で、出力の増加は出力を減少させるように働き、出力の低下は出力を増大させるように働くので、出力の変動を抑えることが出来る。負のフィードバックの方が応用範囲が広く、単にフィードバックと言えば負のフィードバックのことを指す場合も少なくない。 ただし、負のフィードバックを行なっていても、フィードバックが時間遅れを従っている、言い換えるとループ利得が周波数特性を持っている場合には、出力の「増加させ過ぎ」「減少させ過ぎ」を繰り返してしまう場合がある(これは、一定の時間遅れのときだけ正のフィードバックになってしまう、と表現する事も出来る)。この状況に陥る時間遅れにおいてループ利得が1を越える場合は、出力は一定の値に収束することなく変動を続ける。この状態を特に発振という。現実の世界ではフィードバックに必ず時間遅れが発生するので、発振を避ける工夫が必要になる場合がある。フィードバック系の安定性を判断する方法として、位相余裕やボーデ線図がしばしば用いられる。
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基本的概念
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/17 04:58 UTC 版)
生物は種によって生きられる時間的限界があるものと考えられ、これを生理的寿命という。しかし野外においてはこれを全うできるものはごく少なく、それ以前に多くが死亡する。その死亡は生活史の様々な段階で生じる。これにはその種の齢別の死亡率の問題である。 これを具体的に示し、比較検討する方法として生命表(life table)があり、それをグラフ化したものが生存曲線(survivorship curve)である。生命表は元来は人口統計学の分野のものであり、保険事業に関わって17世紀末に作られたもので、これを生物一般に適用したのは個体群生態学の祖の一人であるパールに遡る。動物の野外個体群において生命表を得ることは1960年代以降に広く行われるようになり、生存曲線の研究もこれらに並行して進んだ。 生存曲線にはその種の生活史戦略の一面が現れるものであり、往々に三つの型を区別する。
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