和田金牧場
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 19:07 UTC 版)
1964年(昭和39年)に有限会社和田金が自社牧場として開設した。2010年(平成22年)に株式会社和田金ファームとして分社化し、同社はウシの肥育・販売、農産物の生産・加工・販売を業務としている。牧場は一般人の見学を受け付けていないが、取材や職場体験を目的とする場合は受け入れ実績がある。取材の場合、マイケル・ブースのように牧場に降り立ち、直接ウシに触れることを許された者もいれば、向笠千恵子のように口蹄疫対策として車窓からの見学にとどまった者もいる。肥育技術向上を目指す社内イベントとして品評会を開いており、和田金の社長や飼料会社の関係者(日本農産工業社長)らが牧場のウシを評価する。 牧場は松阪市嬉野黒野町にあり、その面積は約13 haで15の牛舎が並んでおり、見学したマイケル・ブースは「牧場というよりも、きれいに手入れされたカントリークラブみたいだ」と形容している。兵庫県産黒毛和種の雌牛のみを仕入れて肥育している。すべて未経産の雌牛(処女牛)で、仕入れ時点の月齢は10か月である。雌牛であるのは雄牛よりも肉質が柔らかいからで、処女牛であるのは交尾や出産、母牛として母乳を与えると脂肪の燃焼や養分の流失で肉質が低下してしまうからである。肥育頭数は約2,000頭で、年間出荷頭数は約500頭、ここで生産された牛肉はすべて和田金で販売・調理される。肥育期間は30 - 36か月程度であるが、特に決まっているわけではなく、場合によっては40か月肥育した肉が供されることもある。牛肉に加工される前のウシは600 - 700 kgになる。餌には稲わら、トウモロコシ、ダイズ、穀物などの配合飼料を使う。 松阪牛の肥育方法として知られている「ビールを飲ませる」、「マッサージを行う」を実践している。そもそもこの方法は和田金が試行錯誤の末に生み出したものである。ビールを飲ませるのは食欲増進のためで、餌を摂る量が落ちた時に与えるので、毎日飲ませているわけではない。与えるときはビール瓶のままウシの口に突っ込む。マッサージを行うのは「脂肪の蓄積を防止するため」とされるが、実際には脂肪の分散効果はなく出荷前のウシをリラックスさせることが目的である。このほか飼育員が焼酎を口に含み、ウシに吹きかけるということをしている。これは虫が寄り付くのを避けるためで、焼酎を使うのはアルコール度数が高く、安価に入手できるからである。ビールを飲ませたり、焼酎を吹きかけたりするには経験を積む必要があり、マイケル・ブースは挑戦したものの失敗している。 牧場の一角には、子牛の繁殖を目指して日夜研究を行う「松阪ラボ」がある。肥育するための子牛を生産する但馬地方で急速に畜産業が衰退しているためであるが、まだ研究は道半ばで、但馬産のような味わいは再現できていない。
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