各国での言及
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/25 05:52 UTC 版)
世界保健機関は、2018年に公開された薬物規制条約における大麻の格下げの際の審査用の報告書の中で、急性の大麻中毒は短期的な精神病の状態を生じさせることがあるが、統合失調症の発症につながるかという議論については、議論されたままであり、世界的に大麻使用者の増加にかかわらず統合失調症は増大しておらず、異常を起こす者はもともと遺伝的に弱いのではという異論があるとしている。 日本 厚生労働省所管の公益法人財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センターのウェブサイトである「ダメ。ゼッタイ。」では、以下のように説明している。 『大麻を乱用すると気管支や喉を痛めるほか、免疫力の低下や白血球の減少などの深刻な症状も報告されています。また「大麻精神病」と呼ばれる独特の妄想や異常行動、思考力低下などを引き起こし普通の社会生活を送れなくなるだけではなく犯罪の原因となる場合もあります。また、乱用を止めてもフラッシュバックという後遺症が長期にわたって残るため軽い気持ちで始めたつもりが一生の問題となってしまうのです。社会問題の元凶ともなる大麻について、正確な知識を身に付けてゆきましょう。』 この主張に対して大麻への寛容な政策をもとめる民間団体「カンナビスト」(大麻非犯罪化人権運動)は、2004年、情報公開法に基づく複数の開示請求を厚生労働省に対して行ったが、厚生労働省は行政文書不開示決定通知書を通達、不開示とした理由に「開示請求に係る行政文書を保有していないため」との返答をした。これは後の請求によって、アメリカから輸入した薬物標本の説明書を翻訳し抜粋されたものであることが分かった。 アメリカ 1972年のマリファナ及びドラッグ濫用に関する全国委員会(シャーファー委員会)で「大麻による急性の精神障害で入院しなければならないような例は、アルコールのように顕著なものではない。大麻関連の精神病で特別に長期化するようなものはほとんど見られない。もし、大麻の重度使用が特別な精神障害を引き起こすとしても、極めて稀であるか、あるいは他の原因で起こった急性または慢性の精神病と区別することも極度に難しい」との報告書の内容を認めた。 アメリカ精神医学会は2013年見解声名を行い、少なくとも大麻使用と精神医学的障害との強い関連があるとしている。 イギリス 1968年にイギリス政府の諮問していた委員会が「大麻の喫煙が直接、深刻な身体的危険に関連しているという証拠はない。」というウットン・レポートを発表した。 2002年には薬物乱用諮問委員会 (ACMD) の「大麻の長期使用についての中心課題の一つは、それが心の病、特に精神病のリード役になるかどうかということで(中略)明確な因果関係は実証されなかった。」と報告した。2004年に政府は大麻の危険性と精神障害の関連性は明白でないという薬物乱用諮問協議会の調査結果によって危険性指定をランクBから1段階下げたCに指定した。しかし、大麻の蔓延と精神障害の危険性の懸念する声は消えず、2008年5月に内相のジャッキー・スミスは大麻の薬物指定格を再びBに格上げした。 2012年のイギリス薬物政策委員会(UKDPC)は、大麻の使用によって一時的な精神病症状を呈することにおいては強い証拠がある一方で、20世紀前半の大麻使用率の顕著な増加に比して精神障害は同様に増加しているということもなく、大麻の使用と精神障害との関係については議論の対象であるとし、大麻の使用が精神病のリスクを増加させていないとする研究と、弱い関連がある研究を提示している。
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