収監された法輪功学習者からの臓器摘出(「臓器狩り」)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 21:17 UTC 版)
「法輪功」の記事における「収監された法輪功学習者からの臓器摘出(「臓器狩り」)」の解説
2006年3月に、非法輪功学習者の中国人2人がワシントンD.C.にて、『法輪功学習者に対する臓器摘出が中国で行われている』といった内容の告発をした。また、同時期に大紀元時報も「瀋陽市近郊の蘇家屯地区に、法輪功学習者を殺して、不法に臓器摘出行為を行う収容所がある」と報じている。 その後、米国の法輪大法協会が法輪功への迫害を調査する為に設立したCIPFGというNGO団体からの依頼を受けて、カナダの人権派弁護士デービッド・マタスと、カナダ国務省でアジア太平洋担当大臣を務めたデービッド・キルガーの二人によって詳しい調査が試みられた。しかし、二人の調査チームは中国当局の許可が下りずに中国本土に渡る事すら出来なかったのでカナダ国内から電話で調査を行った。この電話調査は、米国の議会調査局のレポートによればCIPFGのメンバーによって行われたとされている。一方で書籍「中国臓器狩り」によれば、北京語の話せる調査員によって行われたとされている。臓器移植手術の希望者を装って病院や拘置所に電話を掛けさせて、その通話内容を録音した。音声はオンタリオ州政府が公認した北京語の通訳者によって翻訳され文書化された。その結果、52種類の証拠に基づいて『法輪功という名の気功集団の学習者から臓器を摘出し、臓器移植に不正に利用している』という調査結果が判明したという。しかし、報告書を書いた二人が自ら、調査には決定的な証拠が含まれておらず、全て演繹的な推論に基づいているという事を、報告書の冒頭「E. Methods of Proof」の項目で認めている。その点について、集めた証拠は単体では証拠として機能しなくても複数を組み合わせれば信頼性を上げる効果があると説明されている。この調査内容は世界44カ国で発表が行われ、後に「血まみれの臓器狩り(Bloody Harvest, The killing of Falun Gong for their organs)」としてカナダで出版されている。この報告書によると、2001年から2005年に行われた臓器移植件数のうち、約4万件の臓器について出所が不明であるとされている。 その後、2006年8月11日に国連は不法臓器摘出行為についての申し立て書を中国政府に送付。それから約5か月後の11月28日、中国政府は蘇家屯地区などをNHKなどの報道機関に取材させたことなどを証拠として挙げた上で国連に対して申し立て、それらの内容は事実無根だと主張した。しかし、中国発表の2009年の国内の臓器移植件数は年間約1万1千件だが、アムネスティ・インターナショナルによると、2008年に中国国内で刑が執行された死刑囚の数は1718人であり、死刑者から摘出された臓器だけでは、臓器源の説明がつかない。 大紀元時報は次のように報道している。その後、マンフレッド・ノーワック国際連合拷問特別調査官は、「明らかに、中国国内の病院の臓器移植手術件数は、1999年から急激に上昇している。しかし、その数に相当するドナーは存在しない」と矛盾点を指摘し、これらの問題を解決するには中国政府の協力が不可欠であり、一日も早い調査を願うとした。ちなみに、ノーワック自身も、2005年に中国国内で拷問調査を行っており、国連人権委員会に対し報告書を2部提出している。そして、その報告書には「法輪功学習者たちは、心不全を起こす薬物を注射され、臓器を摘出されている間、あるいはその後に殺害されている」と記載されていた。ノーワックは、「強制労働収容所に監禁されている人の大多数は法輪功学習者で、彼らは裁判を受ける権利も与えられない。また、法輪功学習者は国内の拷問被害者の約3分の2を占めている。これらの状況は、自分自身が中国から出た後も、まったく好転していない」と現在も訴え続けている。
※この「収監された法輪功学習者からの臓器摘出(「臓器狩り」)」の解説は、「法輪功」の解説の一部です。
「収監された法輪功学習者からの臓器摘出(「臓器狩り」)」を含む「法輪功」の記事については、「法輪功」の概要を参照ください。
- 収監された法輪功学習者からの臓器摘出のページへのリンク