収監受刑者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/18 06:50 UTC 版)
アメリカでは、囚人は臓器レシピエントとして一般人と同様に臓器移植の資格を有する。囚人のヘルスケアを留保するのは「残酷で異常な刑罰」と1976年の最高裁判所で結審したためである。移植コーディネーター団体の全米臓器共有ネットワーク (United Network for Organ Sharing) は、移植の適合性を判断する際に患者が受刑者かどうかを考慮しない。囚人が移植に選ばれた場合、コスト面を考慮してその囚人には早期の恩赦が下りることもある。 ドナーの臓器供給は少ないので、利用できる臓器よりも移植を待っている人の方が多い。囚人が臓器を受け取った場合、他の誰かが次の臓器を待っている間に死んでしまう可能性が高い。この倫理的ジレンマへの対応として、凶悪犯罪の経歴があり他人の基本的人権を侵害した重罪者は臓器移植を受ける権利を失うことになっているが「無罪の人が誤認で凶悪犯として収監され、臓器移植を拒否されてしまう可能性を最小限に抑えるため、司法制度を改革する」必要性があるだろうとも述べられている。 一般的に刑務所では、受刑者が家族以外に臓器を提供することを許可していないが、囚人の臓器提供を禁止する法律はない。ただし、感染症リスクの高い刑務所という環境への懸念から、移植団体は1990年代初頭より囚人の臓器を使うことを推奨していない。 囚人の同意が環境的に自由意志なのか疑わしいとして、医師や倫理学者も批判的な考えである。とはいえ、感染症試験は進歩しているし、ドナー囚人に対する特典を無くすことで臓器提供への自発的同意を取ることは可能だと主張する者も若干いる。アメリカ内だけで200万人を超える囚人が臓器不足を減らす解決策の一つになり得ると、彼らは考えている。 囚人の参加など僅かで何ら変化を生まないと主張する人もいるが、アリゾナ州では臓器提供への自発的署名を促す取り組みを行っており、2015年時点で署名した囚人は16,500人を超える。他のアメリカの州でも同様の取り組みが始まっており、ユタ州は死亡時の臓器提供に関する署名を囚人に許可した最初の州となった。
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