公証人の歴史
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/07 03:25 UTC 版)
その起源についてはローマ法に由来するとされる。現代では中世ヨーロッパの神聖ローマ帝国(ドイツとイタリアの一部)が始まりと言われており、12世紀頃に生じたとされるが詳細は不明。当初は神聖ローマ皇帝やローマ教皇の免許を要したが、後に自治都市内のギルドに資格授与権が下賜されるようになった。 当初は商業上の契約や帳簿など広範の私的文書作成を担当してきた。14世紀以後、商人達の識字率向上や複式簿記の発達などに伴って、専ら法的文書の作成に従事するようになる。 公証人には当時一般的だった厳しい徒弟制度が存在せず、教養人にとって必須だったラテン語の知識が求められたことなどから、自由を求めるルネサンス時代の都市教養人にとっては憧れの職業となった。逆に言えば、ひとかどの教養のある人であれば、誰でも公証人の資格が取れた。その頃のイタリアのピサやジェノヴァ、フィレンツェでは、人口200人に1人以上の割合で公証人がいたと言われている。 だが、同時に悪質な公証人が現れる危険性も増大したため、1512年に当時の神聖ローマ皇帝が「帝国公証人法」を定めて、その公的性格と公平中立の義務、国家による監督という基本原則が定められた。 ドイツやイタリア以外のヨーロッパ諸国でも社会に根付いた存在となった。19世紀のフランスを舞台としたアレクサンドル・デュマ・ペールの小説『モンテ・クリスト伯』にも公証人が何度も登場する。 現代において、多くの国では、公証人は法曹あるいはそれに準ずる資格の保持者であることが多い。一方、アメリカ合衆国ではわずかな講習で容易にその資格が取得でき、学校や郵便局 など様々な場に総計400万人もの公証人がいるものの、その権限は概ね署名の認証に限られている。このように、国によって公証人の権限はかなり異なる。
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