公訴権濫用論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/08 02:47 UTC 版)
原則として公訴権を検察官のみに付与し、広い裁量を認めていることから、権限濫用の危険性がある。起訴が行われなかった場合には検察審査会が一応のチェック機能を果たすことが期待されている一方で、起訴が行われた場合についての権限濫用の有無を判断する制度的な担保は存在していないことから、チェック機能が果たされない。 これら不当な起訴を行った場合には「公訴権の濫用」として公訴は棄却されるべきであるとの説が有力に唱えられた。 最高裁判所 (日本)は、原審が検察官の公訴権濫用を認定し公訴を棄却した事件の上告審において、検察官の裁量権の逸脱が公訴の提起を無効とすることはありえるが、それは公訴提起自体が犯罪行為を構成するなどの限定的な場合に限られるとして極めて限定的な解釈を示した上で、検察官の上告を棄却し公訴棄却の原審判決を維持するという判示を行っている。 近年では、従来の公訴権濫用論から離れた新しい視点により、刑事手続きを打ち切ることを可能とする「手続きの打切り論」も唱えられている。
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