日本の検察官倫理の歴史
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/09 02:46 UTC 版)
戦後にアメリカ法の当事者主義的訴訟構造などを取り入れて制定された現行刑事訴訟法は、検察官の地位を戦前の司法官から行政官へと変化させた。すなわち、検察官は、勾留請求権を有する被疑者との対立当事者としての地位、訴追権と起訴猶予権を独占する地位、訴因設定権を独占する地位を合わせ持つ、当事者主義の要となる立場に置かれることになったのである。 このような変化に伴い、検察官をどのように捉えるかという検察官論に関する議論が発生し、その中で検察官がどのような行為規範に服するかという議論も生じた。 しかし、具体的論点であった証拠開示論や公訴権濫用論について、最高裁がチッソ事件川本最高裁決定などの一連の事件で消極的な姿勢を示したことから、検察官の行為規範に関する義務論・地位論的議論は下火になってしまった。 それ以来、大阪地検特捜部主任検事証拠改ざん事件のような重大不祥事が発生するなど、検察官倫理が問題視される機運はあったにも関わらず、2014年ごろに至るまで、検察官の義務に関する議論を深化させようという動きはほとんどみられない。
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