公理論的アプローチとは? わかりやすく解説

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公理論的アプローチ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 17:01 UTC 版)

ゲーム理論」の記事における「公理論的アプローチ」の解説

数理科学としてのゲーム理論もうひとつ特徴として、公理論的アプローチが挙げられる。公理論的アプローチにおいては分析対象性質均衡などをその対象が必ずしも意図せず持つような特性などから逆に特徴付けるような手法、すなわち公理的特徴付け(英: axiomatic characterization)が採用される。ここで用いられる公理系とは論理的な形で与えることのできる究極形式的表現であり、理論精密性を保証するために必要不可欠であった従来経済学には原理(英: principle)という言葉多用されるものの公理(英: axiom)という言葉用いられなかった。これに対してゲーム理論社会科学において初め公理系呼ばれる概念用いて社会状況表現してその解を導くことを試みた学問分野である。 オーストリア学派中心的経済学者であったカール・メンガー公理主義経済学構築提案していた頃、ジョン・フォン・ノイマンダフィット・ヒルベルト共同数学量子力学公理化を進めていた。一方オスカー・モルゲンシュテルンメンガーらの影響を受け、公理論基礎を持つ科学的言語創造とそれに基づく社会科学倫理学再構築構想していた。ゲーム理論はこのフォン・ノイマンモルゲンシュテルン出会ったことによって誕生し、その当初から公理論体系具していた。彼らの共著書『ゲームの理論と経済行動』1944年)において用いられた公理論的アプローチは、ナッシュ交渉問題ナッシュ均衡シャープレー値など後のゲーム理論研究において多用されることとなった。公理論的アプローチによって構築されゲーム理論は、社会構成する人間理性的行動明確に記述分析する言葉として多様な分野用いられ発展している。 公理論的アプローチはゲーム理論以外にも価格理論などの主流派経済学にまで普及しているがその一方でポスト・ケインズ派旧制度派、オーストリア学派ラディカル派、マルクス学派などの異端派経済学者からは批判受けている。彼らが共有する批判的実在論(英: critical realismによれば、公理論的アプローチを採用している主流派経済学は何かを説明する際に公理となる仮定条件から演繹する必要があるが、この方法では社会科学事象規則ではなく深層社会構造経済主体関心持っていることを認識できないという。すなわち、現実世界社会構造経済主体からなる開放系」であるにも関わらずシステムを「閉鎖系」としてしか分析できない公理論的アプローチを用いている限り理論実証双方とも不完全なままにとどまるであろう、という批判なされている。

※この「公理論的アプローチ」の解説は、「ゲーム理論」の解説の一部です。
「公理論的アプローチ」を含む「ゲーム理論」の記事については、「ゲーム理論」の概要を参照ください。

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