公理間の関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/11 14:42 UTC 版)
T0-公理はある性質に加える(例えば、完全正則 + T0 がチホノフであるように)ことができるのみならず、ある性質から引く(ハウスドルフ − T0 が R1 であるように)ことが公明正大な意味を以てできるという意味で特別である(詳細はコルモゴロフ商を見よ)。分離公理を与えるとき、このことは以下の表のような関係性があることを意味する。 T0 版非-T0 版T0 (何も仮定しない) T1 R0 ハウスドルフ (T2) R1 T2½ (特に名前はついていない) 完全ハウスドルフ (特に名前はついていない) 正則ハウスドルフ (T3) 正則 (Regular) チホノフ (T3½) 完全正則 (Completely regular) 正規 T0 正規 (Normal) 正規ハウスドルフ (T4) 正規正則 全部分正規 T0 全部分正規 (Completely normal) 全部分正規ハウスドルフ (T5) 全部分正規正則 完全正規 T0 完全正規 (Perfectly normal) 完全正規ハウスドルフ (T6) 完全正規正則 * 左側の列で括弧書きになっている名称は、一般には紛らわしいかあまり知られていないものという意味である この表で、右側の列から左側へいくには T0 を要請すればよいし、左側の列から右側へ移るにはコルモゴロフ商をとって T0 の要請を除けばよい。(コルモゴロフ商をとれば常にT0空間になる)。 T0 を含むか含まないかという以外にも、分離公理間の関係性が以下の図式で与えられる。 この図式では、条件の非-T0 版を斜線の左、T0 版を斜線の右に書いている。文字はそれぞれの用語の省略形で、"P" = 「完全」、"C" = 「完全/全部分」、"N" = 「正規」、(添字なしの)"R" = 「正則」である。黒丸はその場所にあたる空間に特に名前がないことを意味し、一番下の横棒線は何も条件を課さないことを意味する。 二つの性質を合わせるには、図式のそれぞれの枝が交わるところまで上へ追っていけばよい。例えば、全部分正規 ("CN") かつ完全ハウスドルフ ("CT2") な空間を考えるなら、それぞれの枝を登って "•/T5" の結点へたどり着くはずである。完全ハウスドルフ空間は T0 だから(全部分正規空間のほうはどっちかわからないが)、斜線の T0 側を見ることになるので、結局全部分正規な完全ハウスドルフ空間は T5-空間(より曖昧さをなくすならば、完全正規ハウスドルフ空間)と同じ意味になる。 上の図式を見ると、正規であるという条件と R0 であるという条件は合わせてほかの性質の素になっていることがわかる。実際、この二つを組み合わせると右側の枝の多くの結点を通り抜けることができる。それらの欠点の中で正則性が最も顕著な性質であるので、正規かつ R0 な空間は「正規正則空間」と呼ばれるのが典型的である。これとある意味同様な理由で、正規かつ T1 な空間は、曖昧な "T" 記法を避ける流儀の人からは、しばしば「正規ハウスドルフ空間」と呼ばれる。こういった規約は、ほかの正則空間やハウスドルフ空間にも一般化することができる。
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