保守検査
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 22:51 UTC 版)
「ミネアポリス高速道路崩落事故」の記事における「保守検査」の解説
1993年以来、この橋はミネソタ州運輸局によって毎年検査されていたが、2007年は建設工事のため検査報告が完全ではなかった。崩落以前から、この橋の構造に問題があると言及する報告が幾つかあった。1990年、連邦政府はI-35W橋に「構造的に不十分(structurally deficient) 」との評価を下し、支持構造の重大な腐食に言及していた。 2001年のミネソタ大学土木工学科の調査によると、横梁では亀裂がそれ以前より発見されていた。メイントラス(主構)はこれらの横梁と繋がっており、支承接合点での動きに対する抵抗が横梁に想定以上の歪みをもたらしたことで、次第に応力割れが生じてしまったという。その状況には、更なる伝播を防ぐため亀裂を削り取ったり更なる歪みを防ぐため横梁に支柱を取り付けると言った処置が施された。報告書はまた、メイントラスの冗長性欠如に関する懸念に言及しており、これは構造的破綻がひとつ起こった場合に橋の崩壊リスクが高まることを意味していた。同報告書は、当面の間この橋が疲労亀裂の問題とはならないだろうと結論付けたものの、定期的な検査、構造の健全性監視、ひずみゲージの活用が提案された。 2005年、米国運輸省の国内橋梁データベースによると、この橋は再び「構造的に不十分」と評価されて交換が必要かもしれないとされた。複数の問題点が後の検査報告書で指摘された。2006年6月の検査では亀裂と疲労の問題が判明した。2007年8月(の事故後会見で)、ティム・ポーレンティー州知事はこの橋が2020年に交換される予定になっていたと主張した。 連邦政府による全米規模の検査格付けで、I-35W橋は殆ど最低だった。2005年にこの橋は100点満点評価で50点と評価され、順次交換した方が良いと指摘された(10万基を超える検査評価で50点以下は全体の4%だけ)。別の測定では、I-35W橋は「構造的に不十分」の評価ながらも「そのまま放置しておける最低許容限界」ではあると見なされた。 2006年12月、この橋に関して鋼鉄での補強計画が立案されたが、補修作業におけるドリル掘削が実際は橋を弱体化させてしまうことに技師達が気付いたことで2007年1月に計画は取りやめとなり、定期検査を優先させた。ミネソタ州運輸局の内部文書では、担当役員らが橋の崩壊可能性について話し合い、自分達がそれを否定する必要があるかもしれない点を案じていた。 崩落の数週間前に実施された工事は、照明、コンクリート、ガードレールの交換作業などだった。崩落時には8車線のうち4車線が再舗装のため閉鎖され、橋の上に261トンもの建設資材および機材が置かれていた。
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