低レベル処理設備の増設
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「福島第一原子力発電所における放射性廃棄物の処理と管理」の記事における「低レベル処理設備の増設」の解説
東京電力は1986年に福島県、双葉町、大熊町に対して「低レベル処理設備」を1989年までに新設する旨の事前了解を求め、了解を得た。 この低レベル処理設備は、高温焼却炉と高温圧縮機(減容処理用高圧縮プレスシステム)から構成される。この処理設備により不燃性の放射性廃棄物(不燃性雑固体。金属、ガラス、コンクリート等)の処理も改善が進められた。 高温焼却炉:不燃性雑固体処理の主要施設として機能する。これは日揮が受注し、大洗の原子力技術開発センターにて実証試験を行った後、本発電所に納入された。実証試験を見学した海外の専門家を通じ、引き合いも相次いでいたという。炉は1400℃程度で運転し、使用済み保温材、フィルター、針金、可燃物の処理が可能で1時間当たりの処理能力は100kgである。 減容処理用高圧縮プレスシステム:1988年当時、日本碍子は本発電所からの排出分を含めて、日本国内の放射性廃棄物焼却装置の全てのサプライヤーであった。また、不燃性雑固体についても先行しており、本システムを開発、1988年12月に本発電所に1号機を納入の予定であった。従来不燃性雑固体はドラム缶へ入れていたが、隙間が多く貯蔵効率が悪かった。一方でこの装置はセラミックス圧縮成型の技術を転用した。廃棄物の入ったドラム缶に最大1500tの圧力をかけて周囲から締め付け、直径を1割ほどに絞り込み、次に上下方向から圧縮して円板状のペレットに成型しドラム缶に3個まとめて詰め込む。これにより本発電所で出る金属主体の不燃性雑固体容積を平均3分の1に圧縮することが可能となった。詰め込むペレットの組み合わせは再充填したドラム缶の表面放射線量も200ミリレム以下に抑制するように決め、毎時15個のドラム缶を処理出来るという。 また、集中施設運転開始時には1~4号機分を賄う容量しかなかった固化処理施設もこの増設で、全機の固化処理が可能となる計画だった。完成予定は1987年5月末であった。
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