仕返し
『イソップ寓話集』(岩波文庫版)426「狐と鶴」 狐が豆スープを平皿に入れて、鶴を招待したが、鶴の細い嘴では、すくって飲むことができなかった。そのお返しに、鶴は首の細長い瓶に食物を入れて狐を招いたので、狐は食べることができなかった。
『懐硯』(井原西鶴)巻3-1「水浴は涙川」 醜男の清蔵が美人の妻をめとったので、友人5人が妬み、「奥方には持病があり、寒の候には発作を起こして暴れる」と、でたらめを教える。清蔵はこれを真に受けて妻を離縁する。後に、だまされたと知った清蔵は、「5人を殺して自分も死のう」と思いつめるが、結局、5人の妻を皆離縁させて、仕返しをした。
『デカメロン』第8日第7話 1人の学者が未亡人に恋するが、未亡人は雪の夜に学者を中庭に招き入れ、一晩中待たせ、こごえさせて、からかった。学者は復讐の機会をねらい、「魔法を教える」と言って未亡人をだまし、夏7月に未亡人を真裸で塔の上に置いて、一日中太陽に灼かれるようにした。
『平家物語』巻4「競」 源仲綱の愛馬「木(こ)のした」を、平宗盛が強引に請い取り、「仲綱」という焼き印を押して、「仲綱めに鞍を置け。仲綱めを鞭打て」などと言った。後、仲綱は宗盛の秘蔵の馬「なんりょう」を得て尾とたてがみを切り、「平宗盛入道」という焼き印を押して、宗盛の館へ追い入れた。
『こころ』(夏目漱石)下「先生と遺書」 大学2学年目の試験終了後の夏休み、「先生」とKは房州を旅行する。その時、Kは「精神的に向上心のないものは馬鹿だ」と言って、「先生」を批判する(30)。それから数ヵ月を経た翌年1月、Kがお嬢さんへの切ない恋心を「先生」に打ち明けた時、「先生」は、かつてKが言ったのと同じ言葉をKに投げ返す(41)。Kは「僕は馬鹿だ」と言い、2月の半ば過ぎに自殺する。
『考え方』(スタージョン) ケリーは変わった考え方をする男だった。ある女が、扇風機をケリーに投げつけた。ケリーは扇風機を女に投げ返したりせず、女を抱き上げて扇風機に投げつけた。また、別の女がケリーの弟を憎み、ヴードゥー教の人形に針をさして呪ったので、ケリーの弟は全身が腐って死んだ。ケリーは人形に復讐するために、女をつかまえて痛めつけた。その結果、ヴードゥー教の人形は腐って溶けた。
*自画像の耳がうまく描けないので、絵を描き直さず、耳を切ってしまうというのも、変わった考え方である→〔絵〕3bの『夢』(黒澤明)第5話「鴉」。
★4.女にふられた男が恨みを抱き、その女が他の男との間にもうけた子供に、仕返しをする。
『ノーウッドの建築業者』(ドイル) 建築業者オウルデイカーは若い頃、ある女性に求婚したが、女性はそれを断り、マクファーレンという男と結婚してしまった。オウルデイカーは女性(=マクファーレン夫人)を恨みつつ、ずっと独身を通し、何とか仕返しをしたい、と考えていた。30年近くたってから、オウルデイカー(この時52歳)は、マクファーレン夫人が産んだ息子ジョン(27歳)を殺人犯に仕立て上げ、牢屋に入れてやろうとたくらんだ→〔指紋〕2。
『夜行巡査』(泉鏡花) 男が女を恋したが、女は男の思いを知らぬまま、男の弟と結婚した。男は失恋の苦しみで自暴自棄になり、何らかの仕返しをしたいと考える。弟夫婦は、さほど長生きすることなく死んだので、男は、2人の間の娘お香を引き取って養育する(お香にとって、男は伯父にあたる)。お香が美しい娘に成長し、恋人(=八田義延巡査)ができた時、男は彼らの結婚を頑として認めず、恋の叶わぬ苦しさをお香に思い知らせる。それが、男の考えた仕返しだった→〔二者択一〕6。
品詞の分類
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