亞硝酸とは? わかりやすく解説

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あ‐しょうさん〔‐セウサン〕【亜硝酸】

読み方:あしょうさん

水溶液としてだけ存在する弱酸分解しやすく、加熱する一酸化窒素発生して硝酸になる。化学式HNO2


亜硝酸

英訳・(英)同義/類義語:nitrous acid, nitrite

HNO2 亜酸化窒素水溶液アミノ基反応し突然変異誘発する
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化合物名や化合物に関係する事項:  二重結合  五炭糖  五酸化リン  亜硝酸  亜硫酸  低張液  低級脂肪酸

亜硝酸(あしょうさん)

生もと系酒母では、水中硝酸硝酸還元菌によって還元されて亜硝酸となり、この亜硝酸が酵母の早湧きはやわき)を抑えるという重要な役目をする。しかし一般に水中に亜硝酸が多いことは細菌による汚染可能性大きく好ましくない

亜硝酸

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/10 02:21 UTC 版)

Template:Chembox ConjugateBase
亜硝酸
識別情報
3D model (JSmol)
ChEBI
ChEMBL
ChemSpider
ECHA InfoCard 100.029.057
EC番号
  • 231-963-7
Gmelin参照 983
KEGG
MeSH Nitrous+acid
PubChem CID
UNII
CompTox Dashboard (EPA)
特性
化学式 HNO2
モル質量 47.013 g/mol
外観 淡い青色の溶液
密度 約 1 g/ml
酸解離定数 pKa 3.15[2]
共役塩基 亜硝酸塩
危険性
NFPA 704(ファイア・ダイアモンド)
Health 4: Very short exposure could cause death or major residual injury. E.g. VX gasFlammability 0: Will not burn. E.g. waterInstability 2: Undergoes violent chemical change at elevated temperatures and pressures, reacts violently with water, or may form explosive mixtures with water. E.g. white phosphorusSpecial hazard OX: Oxidizer. E.g. potassium perchlorate
4
0
2
OX
引火点 不燃性
関連する物質
その他の
陰イオン
硝酸
その他の
陽イオン
亜硝酸ナトリウム
亜硝酸カリウム
亜硝酸アンモニウム
関連物質 三酸化二窒素
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

亜硝酸(あしょうさん、nitrous acid)とは、窒素オキソ酸のひとつで化学式 HNO2 で表される弱酸である。IUPAC命名法系統名はジオキソ硝酸 (dioxonitric(III) acid) である。遊離酸の状態では不安定で分解しやすい為、亜硝酸塩または亜硝酸エステル等の形で保存あるいは使用されることが多い。

構造

気相中では、平面構造の亜硝酸分子はsyn型とanti型の両方の構造をとることができる。室温ではanti型が優勢であり、赤外分光法測定により、anti型が約 2.3 kJ/mol 安定であることが示されている[3]

合成

遊離酸を得るには亜硝酸バリウムに当量の硫酸水溶液を加え、硫酸バリウムを沈降濾別したり、硝酸一酸化窒素を作用させるとよい[4]

Ba(NO
2
)
2
+ H
2
SO
4
→ BaSO
4
+ 2HNO
2

遊離酸は不安定なので、反応に用いる場合亜硝酸塩を酸性条件下で加えて発生させたり、亜硝酸エステルを亜硝酸の等価体として用いることも多い。

性質

遊離酸の亜硝酸は高濃度では自己酸化還元反応を起こすので、低濃度で使用するか、または低温で亜硝酸塩を酸性にしてつくられる。

3HNO
2
→ HNO
3
+ H
2
O + 2NO

酸化あるいは還元の両方が起こりやすい。例えば、酸性溶液中、ヨウ化物イオン I と反応し、ヨウ素 I2 を遊離させる。また、過マンガン酸塩などの酸化剤と反応すると酸化されて硝酸イオンになる。酸化剤および還元剤としての標準酸化還元電位は以下の通りである[5]

NO2(g) + H+ + e- = HNO2 , Eo = 1.093 V (還元剤)
HNO2 + H+ + e- = NO(g) + H2O , Eo = 0.996 V(酸化剤)

亜硝酸アンモニウムは自己酸化還元反応で窒素を発生するので、実験室で窒素を発生させるときに用いる。しかしこの塩は不安定であるので、実際は濃亜硝酸ナトリウム水溶液と濃塩化アンモニウム水溶液を混合することで代用する。

NaNO
2
+ NH
4
Cl → NaCl + 2H
2
O + N
2

希薄水溶液中における酸解離定数は硝酸よりも105程度小さく、弱酸である[6]

HNO
2
⇌ H+
+ NO
2
, pKa = 3.3

生体への作用

亜硝酸自体あるいは亜硝酸塩、亜硝酸エステルは分解すると一酸化窒素を発生するので、強い血管拡張作用を示す。

脂肪族2級アミン類と反応するとニトロソアミン体となる[7]。ニトロソアミン体は発癌性が高いことが示唆されており、食品添加物の亜硝酸塩や(窒素肥料を過剰に与えた)根菜などに含まれる亜硝酸の摂取に対しては注意が喚起されている。ほかにタバコに含まれるニコチンとも反応してニトロソアミンとなる。

亜硝酸イオンがヘモグロビンの2価鉄を3価に酸化し、酸素運搬機能がないメトヘモグロビンを生成しメトヘモグロビン血症(ブルー・ベビー症候群)の原因となる[8]

用途

亜硝酸はアミン類と反応し、二級アミン類とはニトロソアミン体となる。特に芳香族一級アミンと反応した場合は脱水により芳香族ジアゾニウムイオンまで進む。

HNO
2
+ ArNH
2
+ H+
⇌ ArN+
2
+ 2H
2
O

ジアゾニウムイオンは反応性が高く、ザンドマイヤー反応などによる置換反応、ジアゾカップリングによるアゾ化合物の合成などの用途がある。アゾ化合物には呈色するものが多いため色素の合成上有用である。

亜硝酸塩は亜硝酸がヘム鉄に配位して鮮赤色を呈するので、ソーセージなどの食品添加物として利用される。この場合、ボツリヌス菌による食中毒予防の意味もある。

関連化合物

亜硝酸イオン

亜硝酸イオンは多くの金属に配位することが知られているが、中心の窒素で配位する場合と、末端の酸素で配位する場合とが知られている。中心の窒素で配位した錯体をニトロ錯体、酸素で配位した錯体をニトリト錯体と呼ぶ。

亜硝酸塩

代表的な亜硝酸塩を次に示す。

化合物名 読み 英名 化学式 分子量 CAS登録番号 融点 沸点 密度 比重 備考
亜硝酸カリウム あしょうさんかりうむ potassium nitrite KNO2 85.1 7758-09-0 350℃
(分解)
    1.915  
亜硝酸カルシウム あしょうさんかるしうむ calcium nitrite Ca(NO2)2 132.09 13780-06-8       2.23  
亜硝酸銀 あしょうさんぎん silver nitrite AgNO2 153.87 7783-99-5 140℃     4.453  
亜硝酸ナトリウム あしょうさんなとりうむ sodium nitrite NaNO2 69 7632-00-0 271℃     2.168  
亜硝酸バリウム あしょうさんばりうむ barium nitrite Ba(NO2)2 229.34 13465-94-6         自己反応性

亜硝酸エステル

代表的な亜硝酸エステルを次に示す。

化合物名 読み 英名 化学式 分子量 CAS登録番号 融点 沸点 密度 比重 備考
亜硝酸エチル あしょうさんえちる ethyl nitrite CH3CH2ONO 75.07 109-95-5   17℃   0.90  
亜硝酸イソアミル あしょうさんいそあみる 3-methylbutyl nitrite (CH3)2CHCH2CH2ONO 117.15 110-46-3   97-99℃   0.875 異性体混合物は亜硝酸アミルと呼ばれる
亜硝酸イソブチル あしょうさんいそぶちる 2-methylpropyl nitrite (CH3)2CHCH2ONO 130.18 542-56-3   67℃   0.870  
亜硝酸イソプロピル あしょうさんいそぷろぴる 2-propyl nitrite (CH3)2CHONO 89.09 541-42-4   39-39.5℃   0.844  
亜硝酸 t-ブチル あしょうさんたーしゃりーぶちる 1,1-dimetylethyl nitrite (CH3)3CONO 103.12 540-80-7   63℃   0.8671 ジェット燃料
亜硝酸 n-ブチル あしょうさんのるまるぶちる butyl nitrite CH3(CH2)2CH2ONO 103.12 544-16-1   78.2℃   0.9114  
亜硝酸 n-プロピル あしょうさんのるまるぷろぴる propyl nitrite CH3CH2CH2ONO 89.09 543-67-9   46-48℃   0.8864 ジェット燃料

参考文献

  1. ^ Nitrous Acid”. 2025年9月10日閲覧。
  2. ^ Perrin, D. D., ed (1982). Ionisation Constants of Inorganic Acids and Bases in Aqueous Solution. IUPAC Chemical Data (2nd ed.). Oxford: Pergamon (1984発行). Entry 156. ISBN 0-08-029214-3. LCCN 82--16524 
  3. ^ グリーンウッド, ノーマン; アーンショウ, アラン (1997). Chemistry of the Elements (英語) (2nd ed.). バターワース=ハイネマン英語版. ISBN 978-0-08-037941-8.{{cite book2}}: CS1メンテナンス: デフォルトと同じref (カテゴリ) p. 462.
  4. ^ F.A. コットン, G. ウィルキンソン著, 中原 勝儼訳 『コットン・ウィルキンソン無機化学』 培風館、1987年
  5. ^ Allen J. Bard, Roger Parsons, Joseph Jordan, Standard Potentials in Aqueous Solution, Marcel Dekker Inc (1985).
  6. ^ 田中元治 『基礎化学選書8 酸と塩基』 裳華房、1971年
  7. ^ アミンの亜硝酸との反応” (pdf). 城西国際大学. 2017年7月9日閲覧。
  8. ^ 生物機能開発研究所紀要 7:37-41(2007)葉菜中硝酸イオンの低減化法

関連項目


亜硝酸

出典:『Wiktionary』 (2018/07/05 03:45 UTC 版)

名詞

あしょうさん

  1. 窒素オキソ酸一つ化学式 HNO2通常はその水溶液をいう。弱酸であり、加温することにより酸化したり還元したりする。

関連語

翻訳


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