二号地住宅地北ブロック(並木二丁目)
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「横浜の都市デザイン」の記事における「二号地住宅地北ブロック(並木二丁目)」の解説
二号地は富岡川と長浜水路に挟まれた地区であり、横浜横須賀道路金沢支線道路の北側が北ブロックである。この土地の処分の時点ではすでに一号地のかなりの部分で建築計画などの事業が進んでおり、行政も住宅事業者も新しい課題に挑戦する集合住宅計画の実施に向けて、多くの経験を積んでいた。そこでその経験と金沢住宅地全体開発基本計画の内容とを踏まえ、二号地についてはさらに多面的な配慮を加えた総合計画を作成するために見直し作業を行った。まず、金沢シーサイドタウンの事業者である港湾局、住宅建設事業者の立場としての日本住宅公団、設計の専門家としての神谷・荘司計画設計事務所、アーバンデザイン(計画、事業、設計などの調整役)の立場の企画調整局の4者からなる、計画検討作業のテーブルをつくった。そこで、道路や学校、公園などの公共公益施設の位置、形状、管理などに対する問題、住宅の建設、経営、管理などに対する問題、景観上の問題などについて検討を進め、その結果をベースに横浜市の基本計画を定めた。集合住宅の中の骨格として、人々の生活が感じられ、空間として親密性のある、歩行者のための快適な道を設定する。そのため、一号地にあるセンターと三号地を結び、二号地の北と南を縦断する一本の歩行者専用道路を軸に、クラスターシステムで歩行者路のネットワークを組む。この中心となる歩行者専用道路に沿って学校や保育園、幼稚園や公園、集会場や診療所、そして店舗など、住民の日常生活に関係する公共公益施設を集中的に配置する。そしてまた、住棟は低層住宅を中心に中層、高層住宅を混在させ、変化とヒューマンスケールをもった空間を構成する。歩行者専用道路沿いには公開空地を連続的に配置して修景と演出を図り、住棟の出入口や出窓あるいは専用庭などの配置により、道路に生活感滲み出るような工夫をする。北ブロックの住宅建設事業者は結果的に日本住宅公団一者となり、この基本計画を受けて実施のための計画づくりが今度は日本住宅公団よってすすめられた。北ブロックの骨格の中心となる中央ゾーンの実施計画策定にあたっては、基本計画の内容に基づくとともに、多くの異なった個性が寄り集まってどのように街の特徴と魅力をつくり出すかという、アーバンデザインの考え方を導入することを試みた。建設事業主体が複数でなく、日本住宅公団一者より計画的に建設される住宅団地であるため、通常の街ように多くの個性が参加するというわけではないが、建築設計の手法の延長線上で行われている通常の団地設計とは違う方法を探った。その結果、4人の設計者(神谷・荘司計画設計事務所+鼎設計事務所、内井昭蔵建築設計事務所、現代計画研究所、宮脇檀建築研究所)による共同設計とした。そして同時に骨格となる歩行者専用道路と建物間の外構設計の考え方を整理する造園設計事務所(田中造園土木設計室)を加え、事業者の日本住宅公団関東支社と、基本計画をフォローする立場の横浜市都市デザイン担当の7者で作業のテーブルを構成した。作業にあたって4人の設計者がどのような関係で共同設計をするかが議論されたが、結局作業がしやすい、各々の領域を明確にする無難な方法が採用せれ、歩行者専用道路沿いのブロックを4つのグループに分けて各々分担し作業が進められた。設計の分担の方法、作業の進め方、会議の方法、作業の時間配分など7者とも初めての経験であり、また4人の設計者の「街と建築」に対する考えの違い、そして建築物本体の設計段階での事業サイドの時間的な理由などによって、7者テーブルがもたれずに終わったことなど、全体の進行は必ずしも当初横浜市が意図した通りにはいかなかった。しかし、計画開発の中にアーバンデザインの考え方を導入したことは、街づくりとしてより良い都市環境をつくり出していくことと、それに参加する組織や人の関係などについて、様々な問題を明らかにすることができた。また、街づくりと建築の取組に対する新しい課題を投げかけることができ、その後の計画開発に反映する多くの示唆を与えることができた。
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