事業の停滞
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 06:06 UTC 版)
「鞆の浦埋立て架橋計画問題」の記事における「事業の停滞」の解説
埋立て認可の遅れにより事業は2009年に入っても事実上進まず、推進派は危機感を募らせた。羽田福山市長は市議会で「認可のハードルが、だんだん高くなっているようだ」と国への不満を述べたほか、藤田広島県知事は「判断材料が偏らないよう、国交相に会って説明したい」とマスコミが反対派の意見を大きく報道していることに不満を表し、12月25日に上京し金子大臣に事業の概要を説明し計画の実現を訴えた。これに対し金子大臣は「鞆の浦は次の世代に残すべき大事な歴史、文化を持っている」と指摘したうえで、「地域の皆さんの利便性の問題とともに、(広島県側と)知恵を出し合いたい」と述べ大臣として異例の強い関心を示した。そのうえで、地方整備局長レベルの判断にゆだねるだけでなく問題解決のために大臣が関与していく姿勢を示した。また、羽田市長は2009年1月5日に、これまでにも埋め立て面積の縮小などの計画案の修正をしているとして「これ以上反対派と話し合う余地はない」と反対運動に強硬な態度を表明し、1月28日に上京して金子大臣に重ねて計画案の早期認可を求めるなど陳情活動を行った。 しかし、金子大臣は1月30日の閣議の後の記者会見で認可の前提として「住民の合意ではなく国民の合意を取り付ける必要がある。その過程で当然見直しもあるだろう」として、事実上現行の計画案の見直しを示唆する発言をした。この発言に羽田市長は金子大臣との会談ではそのような話はなかったとコメントしたほか、計画賛成派の住民団体「明日の鞆を考える会」は「(計画の実現はなければ)過疎化を食い止められず、町並み保存はますます困難になる」と反発するなど、行政と賛成派住民に戸惑いが広がった。一方で、反対派は大臣の発言は当然のことであると意見を表明した。 福山市は、平成21年度予算で世論対策費と埋め立て予定地に生息する海洋生物を移動させる予算を計上した。 なお、総事業費50億円のうち国庫負担は20億円をみている。このため、国の同意が得られない以上建設は難しく、また、国土交通省中国建設局も埋め立て許可の認否について明確な決定は行っていない。 2009年7月3日、広島県は現地の県有地に制作費30万円をかけ事業概要を宣伝する看板を設置した。そして建設推進派であった藤田雄山知事が多選と健康上の理由で退任が決定していたため、羽田市長は知事の任期中の工事着工を希望していた。しかしながら、実現することはなかった。
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