緊縮財政と公債暴落
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/06 09:42 UTC 版)
「2010年欧州ソブリン危機」の記事における「緊縮財政と公債暴落」の解説
世界金融危機に対する対策ののち、各国で緊縮財政が行われた。ヨーロッパでは金融危機によってギリシャ、ポルトガル、アイルランドの財政が悪化し、特にギリシャとアイルランドが債務の再編を必要とした。アイルランドとギリシャの国債は暴落し、緊密な金融システムをもつヨーロッパ全体に飛び火した。アイルランドは自国銀行をEUで救済するという案を出したがドイツに拒否され、アングロ・アイリッシュ銀行の国有化にともない国債が売られた。ギリシャはユーロ加盟前の2001年よりも財政赤字を減少させていたが、それでも解消には至らず、国債の金利が急騰した。ギリシャには債務再編が必要であり、ドイツの国民はギリシャが元本を削減するための支援には賛成が多かった。しかし、2009年に成立したギリシャの全ギリシャ社会主義運動(PASOK)政権は、前政権による問題の解決に消極的だった。IMFはギリシャ支援の条件として緊縮財政を求めたが、ギリシャはGDP成長率がマイナス4.5%となり、支援策の前提である2年以内の市場復帰は不可能となった。 2011年秋には、ヨーロッパの銀行はいくつもの問題を抱えた。(1) 世界金融危機の損失、(2) 欧州の国債の不良債権化、(3) ユーロ圏の問題による新規事業の停滞、(4) バーゼルIIIによる規制、(5) アメリカやアジアの銀行との競争、(6) 資金調達の困難、などがある。 問題は独仏のマネーがこれらの国に大量に投資されているため、欧州全体のマネーフローの問題になったことである。また世界金融危機後のけん引役の1つである欧州経済の不調が、今なお脆弱なアメリカや日本の経済危機の引き金を引くのではないかという懸念がある。 通貨発行権 PIIGS諸国などが抱える欧州債務問題の原因はユーロ圏ではドイツにあるECBだけがユーロ紙幣を発行する権限を有しているために、ユーロ圏の各加盟国が紙幣増刷によって自力で債務返済できないシステムをとっているからであると説明される。オッカムの剃刀の法則によって、自国通貨を発行できる中央銀行を有する米国や日本がその政府債務額に比して深刻な金融危機に陥っていないことを簡潔に説明でき、準備通貨としての地位や労働時間などその他の要素を債務問題の原因から矛盾無く排除することができる。[要出典]
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