レフチェンコのエージェント
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 17:21 UTC 版)
「レフチェンコ事件」の記事における「レフチェンコのエージェント」の解説
レフチェンコは10人前後の日本人をエージェントとして直接操り、代価も支払っていた。 そのエージェントとして実名の9人を含め計33人のコードネームを明らかにした。 実名を挙げてエージェントとされたのは、「フーバー」こと石田博英(元労働大臣)、「ギャバー」こと勝間田清一(元日本社会党委員長)、「グレース」こと伊藤茂と「ウラノフ」こと上田卓三の両社会党代議士、「カント」こと山根卓二(サンケイ新聞編集局次長)、「クラスノフ」こと瀬島龍三(伊藤忠商事会長)、「ムーヒン」こと三浦甲子二(朝日新聞)など(肩書きはいずれも1979年当時)。 「ミトロヒン文書#日本に対する諜報活動」も参照 9人の日本人はいずれも「事実無根」「身に覚えがない」などと疑惑を否定した。 渡辺(邉)恒雄読売新聞論説委員長は、レフチェンコ事件の協力者リストに読売新聞記者の名が挙げられた折、本人を呼んで尋問したが、「スパイ協力行為はやっていない」と本人は証言した。それからしばらくしたある日、渡辺が首相官邸に赴いた際、当時の後藤田正晴官房長官が「きみの社のあの記者は、ソ連のスパイ協力者だから解雇しろ」と詰め寄った。渡辺は後藤田のその物言いにカッとなり、「政府の人間が我が社の社員を解雇しろなんて、命令するのは無礼じゃないか」と言い放つと、後藤田はレフチェンコの自白を基にCIAや日本の公安当局がまとめた、コードネームは記載されているものの実名は出ていない一覧表を渡辺に示し、「おまえのとこの記者はこれに該当するんだ」と怒鳴った。それを受け、渡辺が「内政干渉だ」と言うと、後藤田は今度「お前は政府に喧嘩を売る気か」と罵った。 渡辺は頭にきて、首相執務室に飛び込み、たまたま一人でいた中曽根康弘首相に後藤田とやり合ってきたこと話すと、中曽根は、執務室の机の引き出しの中から書類を持ってきて渡辺に、「これは、私と官房長官しか持っていないものです。どうぞご覧ください」とだけ告げた。それを見ると、コードネームに全部実名がついており、国会議員を含め新聞社もほとんど各社の人間が絡んでいるのが分かった。渡辺はすべてを悟ると「わかりました。僕の負けです」とだけ言ってその場から離れた。 リストに挙げられたこの記者について、渡辺は特定秘密保護法に関する有識者会議の座長を務めた際、「政府の言うとおり処分したと思われないよう、時期をおいてから異動させた」と発言している。 コードネームだけのエージェントのなかには、マスコミ関係者や大学教授、財界の実力者、外務省職員や内閣情報調査室関係者などが含まれていた。 「日本対外文化協会」も参照 また、エージェントと接触するKGB側の工作員として、イワン・コワレンコ元KGB中佐・当時ソ連共産党中央委国際部次長、イェローヒン、グリヤノフ両KGB東京駐在部長(1975 - 79年当時)ら8人の名前を挙げた。 「スパイ#ソ連・ロシア」も参照 表 話 編 歴 ソビエト連邦のスパイ アメリカ合衆国ロナルド・ペルトン / ハリー・ホワイト / クラウス・フックス / セオドア・ホール / ジョルジュ・コワリ / ローゼンバーグ夫妻 / デイヴィッド・グリーングラス(英語版) / オルドリッチ・エイムズ / ジョン・アンソニー・ウォーカー(英語版) / アルジャー・ヒス イギリスジョージ・ブレイク / ケンブリッジ・ファイヴ(キム・フィルビー / ドナルド・マクリーン / ガイ・バージェス(英語版) / アンソニー・ブラント(英語版) / ジョン・ケアンクロス(英語版)) / ルドルフ・アベル ドイツ赤いオーケストラ(ハロ・シュルツェ=ボイゼン(ドイツ語版) / アルヴィト・ハルナック(ドイツ語版)) / オットー・ヨーン / エドガー・フォイヒティンガー / リヒャルト・ゾルゲ 日本尾崎秀実 / 志位正二 / 朝枝繁春 / 宮城与徳 / 石田博英 / 勝間田清一 / 伊藤茂 / 上田卓三 / 山根卓二 / 野坂参三 / 三浦甲子二 / 山川暁夫 / 宮永幸久 その他ユーリー・ラストヴォロフ / スタニスラフ・レフチェンコ / リヒャルト・ゾルゲ / ゼエフ・アヴニ / アイノ・クーシネン / イレール・ヌーラン / レオポルド・トレッペル 一方で、日本人協力者は積極的にソ連の指示に従って対日工作に協力していた者だけではなく、ソ連の術中に嵌って無自覚に謀略に協力していた者も含まれる。
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