レアアース

レアアースとはレアメタル(希少金属)と呼ばれる合計47の金属元素のうち、化学的性質がよく似た17種類に対する総称。ネオジム、ジスプロシウム、ランタン、セリウム、イットリウムなどが該当します。
これらを、各種ハイテク製品の材料に添加することで、製品の機能アップや新機能の付加が図られることが分かってきました。代表例がハイブリッド車や電気自動車用のモーター。磁石部分にネオジム、ジスプロシウムを加えることでパワー(磁力)と耐熱性に優れたモーターが誕生します。
レアアースの年間産出量は世界全体で12万トンほど。そのうち実に約97%を中国が占めて、完全な一国寡占状態にあります。その中国がこの7月に、今年1年間のレアアース輸出量を昨年比4割削減すると表明しました。「大量の採掘は生態環境を破壊する」というのが理由です。日本政府は輸出削減の見直しを強く要請しました。
一方、企業サイドでは、以前から中国一国に依存するリスクを見越して、レアアースの代替や使用量削減につながる材料・技術の研究開発に取り組んできています。その成果がここへきて明らかになってきました。
TDKや日立製作所は、ネオジム系磁石と遜(そん)色のない性能を引き出せるフェライト磁石を開発、それによりレアアースの使用量を減らしていきます。三菱電機、日立金属、信越化学工業、帝人、ダイキン工業などでも同様のレアアース・フリーの強力磁石の研究開発に力を入れ、成果を挙げつつあります。
こうした技術開発の一方で、リサイクルによりレアアースを確保する取り組みにも拍車がかかっています。ネオジム合金を扱う昭和電工や中央電気工業は、ベトナムにリサイクル工場を設けてグローバルなリサイクルを推進。日立グループでは高効率なリサイクル技術の実用化を目指しており、信越化学ではリサイクル対象品目を拡充しています。
レアアースを産出量ベースで見ると、中国の寡占となりますが、埋蔵量では中国が36%ほど。以下、ロシア、米国、オーストラリア、インドと続きます。そこで大手商社などが中国以外の各国でのレアアース鉱山の開発計画を練っています。レアアースを巡る様々な動きが、さらに賑やかになるのは間違いなく、ここ当分、目が離せません。
(掲載日:2010/09/27)
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