ヤギ乳と乳加工品
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 07:43 UTC 版)
「en:List of goat milk cheeses」および「ヤギ乳チーズの一覧」も参照 10ヶ月の授乳期間中の最盛期(たいていは四期間中の第三期)で、平均2.7〜3.6キログラム(約2.8〜3.8リットル)、泌乳初期は多く生産され、終り頃になると少なくなる。乳脂肪は平均 3.5% である。 バターやチーズ、ヨーグルトなどにも加工されるが、ヤギ乳は牛乳アレルギーのある人の代替飲料として好んで用いられていた。また、牛乳よりも乳糖が少なく、消化性に優れ、芳醇な風味もあるため、アレルギーのいかんにかかわらず好む人は多い。同様に乳糖を分解しづらい多くの犬、猫、その他ペット用に、ヤギミルクが販売されている。 牧民はヤギの乳を様々に加工して用いる。ヤギ乳のチーズはシェーヴルチーズと呼び、白色で軽い食感をもち、軽い酸味と特有の香りをもつものが多い。フランスのクロタン(Crotin de Chavignol)、ピコドン(Picodon de l'Ardeche)などが有名。 風味を生かしたアイスクリームなども製造されている。また、アトピー性皮膚炎にも有効といわれている。アメリカ合衆国では、メイヤンバーグ社がヤギのミルクや粉ミルクを広く流通させており、米国内の大手のスーパーでは大抵手に入る(粉ミルクは日本の輸入雑貨店でも売られている)。 太平洋戦争中は、牛に比べて大きさが手頃なことから、日本でも多くの民家でヤギの飼育が行われ、食肉やミルクの供給源となった。しかし、敗戦後はGHQの指導によりヤギ乳に代わって牛乳が普及したために、日本国内における現在の生のヤギ乳の生産高は少ない。 栄養についての注意 米国小児科学会は、ヤギ由来の乳児用ミルクを止めさせている。2010年4月のレポート「乳幼児用の新鮮なヤギ乳:神話と現実」の勧告を要約すると、「文化的な信念やネットの誤った情報で、多くの乳児に良いと考えられているが、殺菌消毒されていない生のヤギミルクは、生命を脅かすアレルギー反応、溶血性尿毒症症候群、感染症などを引き起こす可能性がある。」と報告している。未治療のヤギ・ブルセラ症の死亡率は2%とされる。またアメリカ合衆国農務省によると、含まれる鉄分、ビタミンC、ビタミンD、チアミン、ナイアシン、ビタミンB6、およびパントテン酸が乳幼児の栄養ニーズの量と合致せず、腎臓に害を与え、代謝障害や重度の貧血と高ナトリウム血症を引き起こす可能性があるため推奨していない。英国保健省、カナダ保健省も、生のヤギ乳を乳幼児へ与える事への危惧を勧告している。
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