メーカーの動向
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/31 02:45 UTC 版)
「リアプロジェクションテレビ」の記事における「メーカーの動向」の解説
日本メーカー各社がブラウン管方式のプロジェクションテレビを販売していたが、1990年代後半から次々と姿を消した。その後、日本メーカーのプロジェクションテレビはソニーが自社の透過型液晶パネルを用いた「グランドベガ」のみという時代が続いた。グランドベガはそれまでのリアプロジェクションテレビの水準を大きく引き上げる革新的な商品として北米市場で好販売となった。一方、プラズマテレビ、液晶テレビに関心が向いていた日本市場では販売低調であった。 2004年になり、プロジェクター向け透過型液晶パネルで圧倒的なシェアを持つセイコーエプソンが、アメリカで自社のパネルを用いたリアプロジェクションテレビを販売した。日本ではエプソンダイレクトが、直販のみで販売を始め、テレビ事業に参入した。続いて三洋電機もエプソンの透過型液晶パネルを搭載したリアプロジェクションテレビの販売を開始した。しかし、どちらもデジタルチューナーは内蔵していない。 また同年、プラズマ・液晶で自社パネルを持てなかった日本ビクターも古くから開発していた独自のLCOS(反射型液晶)デバイスであるD-ILAを用いたリアプロジェクションテレビを開発し、北米で発売した。透過型液晶パネルが開口率50%程度であるのに対し、D-ILAは90%以上の開口率を持ち、輝度が高く消費電力も低いリアプロジェクションテレビとして日本でも話題になった。さらに、D-ILAは無機配向膜を用いており半永久的な素子寿命を持つという特徴もある。2005年にはD-ILAパネルの生産力をこれまでの3倍に増強し、5月に地上デジタルチューナを初めて内蔵したD-ILA方式のリアプロジェクションテレビを日本で発売した。その後も同サイズの液晶パネルでフルHDの解像度を持つD-ILAを開発し、量産性を高めて比較的安価でフルHD画質を持つモデルを発売する等、ラインナップが充実させた。また、展示会等ではRGB3色のLEDやレーザー光を光源としたモデルや奥行き25cm程度の薄型のモデルを発表するなど、積極的に技術開発をおこなった。 ソニーも独自のLCOSデバイスであるSXRDを開発した。量産性はややビクターに劣るものの液晶のセルギャップ(膜厚)を薄くすることによって応答速度の高いパネルを開発し、QUALIAブランドから高級リアプロジェクションテレビとして発売した。その後も普及機としてブラビアブランドから透過型パネルのリアプロを発売しラインナップを増強する。2006年9月には日本市場にSXRDを搭載した普及機を新たに投入した。 三菱電機は変調素子にDMDを採用したDLP(テキサス・インスツルメンツ)方式で他社と比較して若干薄型のリアプロを開発した(2006年にはレーザー光を使用した新光源を開発した)。続いてシャープもDLP方式でリアプロに参入した。 LED、レーザーなどを用いたバックライトや薄型筐体のモデルを各社で開発・発売していたが、液晶テレビ・プラズマテレビの急激な値下がり、また、それらと比較される店頭での見栄えのなさなどから2006年頃からリアプロ市場は急速に縮小した。2007年12月、ソニーはリアプロテレビからの全面的な撤退・国内外の生産拠点の閉鎖を発表した。また日本ビクターもケンウッドとの経営統合の際にリアプロテレビの次世代機開発を含めた基本戦略の抜本的見直しを発表、エプソンもリアプロテレビ全機種の生産終了を発表し、国内の一般向け市場からはリアプロが消滅した。 キヤノンと東芝は2005年までにリアプロ参入を表明していたが、市販化は見送っていた。これを2008年までに正式撤回しSEDテレビの実用化に注力するとしたが、これも頓挫した。
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