メジナ虫症とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > ヘルスケア > 疾患 > > メジナ虫症の意味・解説 

メジナちゅう‐しょう〔‐シヤウ〕【メジナ虫症】


メジナ虫症

【英】:Medina worm disease, Guinea worm disease, Dracunculiasis

メジナ虫症(ギニア虫症)は線虫Dracunculus medinensisによる寄生虫感染症である。飲み水中にいる線虫幼虫有するミジンコ摂取して感染する腸管から腹腔出た幼虫は、約12ヶ月成虫発育する産卵期メス成虫長さ60100cm)は下腿皮下移動し感染者皮下水泡潰瘍形成して感染者下腿水場などに入った時に外界幼虫放出するメス成虫下腿移動する灼熱感掻痒感を伴う疼痛がある。潰瘍細菌などに二次感染すると疼痛激しくなり農作業困難になる。この時期農繁期重なり収入低下するため、やがて貧困悪化させ経済問題となる。
対策ミジンコ汚染され飲まない教育基本である。1)池などの飲料水避け井戸などの汚染されていない飲料水とし、2)ろ過などの方法ミジンコ排除する、3)下腿水泡潰瘍のある感染者患部治療し、池などの水場には入らない、などの予防対策が有効である。WHO、ユニセフカーター財団など複数の国組織協力してメジナ虫症の対策乗り出し1986年には毎年350万人感染していたが、現在ではサハラ以南アフリカ12カ国の約3万人限局され、対策最終段階である。メジナ虫症対策ワクチン治療薬使わない教育行動変容基本とする予防対策成功していることに意義がある。残され流行地の多く都会から隔離され田舎で、63%スーダンからの報告である。

メジナ虫症

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/27 22:17 UTC 版)

メジナ虫症
マッチ棒にギニア虫を巻きつけヒトの足から取り除く
概要
診療科 感染症
分類および外部参照情報
ICD-10 B72
ICD-9-CM 125.7
DiseasesDB 3945
eMedicine ped/616
Patient UK メジナ虫症
MeSH D004320

メジナ虫症またはギニア虫症(略称:GWD)は、ギニア虫英語版(ギニアワーム[1])による感染症である[2]

概要

ギニア虫の幼生に感染したケンミジンコの入った水を飲むことにより、ヒトに感染する[2]。初期は症状がなく[3]約1年後にメスの虫によって皮膚内に水膨れが起き、痛みを感じるようになる。大概、この症状は下肢に発症する[2]。その後、虫は数週間かけて皮下から出てくる[4]。その期間中は歩くことや働くことが困難な場合がある[3]

なお、この感染症で死に至ることは稀である[2]

原因

ギニア虫症はヒトへの感染だけでなく、犬にも感染することがある[3][5]。この虫は幅が大体1-2ミリ、メスの長さは60-100ミリ(オスはメスよりかなり短く、12-29ミリ)である[2][3]。人体の外では、幼生として水中で3週間まで生きることができ[6]、その間にミジンコに食べられて寄生しなければ、成長できない[2]。ミジンコの体内にいる幼生は4か月まで生きることができる[6]。ゆえに、この感染症が再発し続けるには毎年ヒトに感染しなければならない[7]

感染のほとんどの診断は、徴候や身体観察が基本的である[8]

予防と治療

予防方法はまず感染の早期診断、ついでギニア虫の拡散を減らすため、傷口が飲用水に接触するのを避けることである[2]。その他にするべきことは清潔な水の確保改善だが、もし清潔な水が確保できない場合は水を濾過して使うことである[2]。布で濾過するだけでも十分な場合がほとんどである[4]。汚染された飲み水は殺虫剤のテメホス英語版で幼生を殺して消毒することができる[2]が、テメホスは治療用の薬やワクチンではない[2]

ギニア虫は棒に巻きつけ、ゆっくり数週間かけて取り除くことができる[3]。ギニア虫が出てくる時にできた潰瘍は、細菌に感染しやすい[3]。ギニア虫を除去した後、数か月は痛みが伴うことがある[3]

疫学と歴史

2015年には22件のメジナ虫症が報告されている[9]。1986年の推定感染件数の3,500,000件と比べると少ない[3]。現在、アフリカでは4か国で生存しているが、1980年代の20か国より減っている[2][9]。この感染症は、最も世界的に根絶されるであろう寄生虫病である[10]

ギニア虫症は古代から知られており[3]、紀元前1550年のエジプト医学パピルスエーベルス・パピルス』に記載されている[11]。英語名のドラキュンキュリアシス (dracunculiasis) の由来はラテン語の"リトルドラゴン"[12]からであり、"ギニア虫"は17世紀にヨーロッパ人が西アフリカギニア海岸で発見した地名が由来である[11]

ドラクンクルス属英語版は多種の哺乳類に感染すると知られているが、人間には感染する傾向はない[13][14]。ギニア虫症は顧みられない病気の一つである[15]

出典

  1. ^ “【海外発!Breaking News】数年後に足首が腫れて感染が発覚。脅威の寄生虫「ギニアワーム」。(豪)”. Techinsight (テックインサイト). (2014年12月14日). https://japan.techinsight.jp/2014/12/yokote2014121312140.html 2021年2月19日閲覧。 
  2. ^ a b c d e f g h i j k Dracunculiasis (guinea-worm disease) Fact sheet N°359 (Revised)”. World Health Organization (2014年3月). 2014年3月18日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i Greenaway, C (Feb 17, 2004). “Dracunculiasis (guinea worm disease).”. CMAJ : Canadian Medical Association journal = journal de l'Association medicale canadienne 170 (4): 495–500. PMC 332717. PMID 14970098. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC332717/. 
  4. ^ a b Cairncross, S; Tayeh, A; Korkor, AS (Jun 2012). “Why is dracunculiasis eradication taking so long?”. Trends in parasitology 28 (6): 225–30. doi:10.1016/j.pt.2012.03.003. PMID 22520367. 
  5. ^ Centers for Disease Control and, Prevention (25 October 2013). “Progress toward global eradication of dracunculiasis--January 2012-June 2013.”. MMWR. Morbidity and mortality weekly report 62 (42): 829–33. PMID 24153313. 
  6. ^ a b Junghanss, Jeremy Farrar, Peter J. Hotez, Thomas (2013). Manson's tropical diseases. (23rd ed.). Oxford: Elsevier/Saunders. p. e62. ISBN 9780702053061. https://books.google.ca/books?id=GTjRAQAAQBAJ&pg=RA1-PA62&hl=en 
  7. ^ Parasites – Dracunculiasis (also known as Guinea Worm Disease) Eradication Program”. CDC (2013年11月22日). 2014年3月19日閲覧。
  8. ^ Cook, Gordon (2009). Manson's tropical diseases. (22nd ed.). [Edinburgh]: Saunders. p. 1506. ISBN 9781416044703. https://books.google.ca/books?id=CF2INI0O6l0C&pg=PA1506&hl=en 
  9. ^ a b Guinea Worm Cases Left in the World”. Carter Center (2015年1月12日). 2015年3月14日閲覧。
  10. ^ Guinea Worm Eradication Program”. The Carter Center. Carter Center. 2011年3月1日閲覧。
  11. ^ a b Tropical Medicine Central Resource. “Dracunculiasis”. Uniformed Services University of the Health Sciences. 2008年7月15日閲覧。
  12. ^ Barry M (June 2007). “The tail end of guinea worm — global eradication without a drug or a vaccine”. N. Engl. J. Med. 356 (25): 2561–4. doi:10.1056/NEJMp078089. PMID 17582064. http://content.nejm.org/cgi/content/full/356/25/2561. 
  13. ^ Junghanss, Jeremy Farrar, Peter J. Hotez, Thomas (2013). Manson's tropical diseases. (23rd ed.). Oxford: Elsevier/Saunders. p. 763. ISBN 9780702053061. https://books.google.ca/books?id=GTjRAQAAQBAJ&pg=PA763&hl=en 
  14. ^ North American Guinea Worm”. Michigan Department of Natural Resources. 2015年12月10日閲覧。
  15. ^ Neglected Tropical Diseases”. cdc.gov (2011年6月6日). 2014年11月28日閲覧。



メジナ虫症と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「メジナ虫症」の関連用語

メジナ虫症のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



メジナ虫症のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
日本国際保健医療学会日本国際保健医療学会
Copyright (C) by Japan Association for International Health. All rights reserved,2025.
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのメジナ虫症 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS