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ペイ・フォワード 可能の王国
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/10 20:59 UTC 版)
ペイ・フォワード 可能の王国 | |
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Pay It Forward | |
監督 | ミミ・レダー |
脚本 | レスリー・ディクソン |
原作 | キャサリン・ライアン・ハイド |
製作 | ピーター・エイブラムス ロバート・L・レヴィ スティーヴン・ルーサー |
製作総指揮 | メアリー・マクラグレン ジョナサン・トレイスマン |
出演者 | ハーレイ・ジョエル・オスメント ケヴィン・スペイシー ヘレン・ハント |
音楽 | トーマス・ニューマン |
撮影 | オリヴァー・ステイプルトン |
編集 | デイビッド・ローゼンブルーム |
配給 | ワーナー・ブラザース |
公開 | ![]() ![]() |
上映時間 | 123分 |
製作国 | ![]() |
言語 | 英語 |
製作費 | $40,000,000 |
興行収入 | $55,707,411 16億円[1] ![]() |
『ペイ・フォワード 可能の王国』(ペイ・フォワード かのうのおうこく、原題: Pay It Forward)は、キャサリン・ライアン・ハイドの小説、および2000年製作の同タイトルの映画。ミミ・レダー監督。キャッチコピーは「きっかけはここにある!」
作品誕生のきっかけ
原作者キャサリン・ライアン・ハイドは「ペイフォワード」という社会運動誕生についてこう語っている。 治安の悪い町で車がエンストしてしまったハイドは、車に近付いてくる男2人に恐怖心を抱く。しかし彼等はエンストしてしまったハイドの車を快く修理してくれたのだった。そこから、この“善意を他人へ回す”という思考が誕生した。
あらすじ
ラスベガスに住むアルコール依存症の母と、家を出て行った家庭内暴力を振るう父との間に生まれた、少年トレバー。
中学1年生(アメリカでは7年生)になったばかりの彼は、社会科の最初の授業で、担当のシモネット先生と出会う。先生は「もし自分の手で世界を変えたいと思ったら、何をする?」という課題を生徒たちに与える。生徒達のほとんどは、いかにも子供らしいアイディアしか提案できなかったが、トレバーは違った。彼の提案した考えは、「ペイ・フォワード」。自分が受けた善意や思いやりを、その相手に返すのではなく、別の3人に渡すというものだ。
トレバーはこれを実践するため、“渡す”相手を探す。仕事に就かない薬物中毒の男、シモネット先生、いじめられている同級生…。 いろいろと試みるものの、なかなかうまくいかず、「ペイ・フォワードは失敗だったのではないか」とトレバーは思い始める。しかし、トレバーの気づかないところで、このバトンは次々に受け渡されていた。
登場人物
- トレバー
- 中学1年生、11歳の少年。シモネットから世界を変えるための課題を出され、“善意を他人へ回す”という案を思いつき、自ら実行し始める。弱い大人たちを間近で見てきたことから世界を少しでも変えられたらと思うが、自身も勇気が持てないでいる。シモネットから熱心で探究心が旺盛と評されている。母・アーリーンが時々嘘をつくことや隠れて酒を飲もうとするのを嫌がる。趣味はテレビでプロレス観戦すること。
- アーリーン
- トレバーの母。夫・リッキーが蒸発したため2つの仕事を掛け持ちしてトレバーを育てている。ただし忙しさもありここしばらく上手く親子関係が築けず悩んでいる。アルコール依存症で、トレバーからお酒を飲まないように言われている。過去に、だらしない性格の実母のせいで家庭環境が悪かったため母とは疎遠状態。酒癖の悪いリッキーに甘く、しばらくぶりに家に戻ってくるとその都度迎え入れてしまう。
- シモネット
- トレバーの社会科のクラスを担当する教師。新入生であるトレバーたちに、今住んでいる世界をより良くするにはどうしたらいいかという課題を出す。生徒たちにも分かりやすい言葉で授業を行うが、プライベートでもこの話し方をするためアーリーンを時に苛立たせることがある。私生活では自身一人の生活は普通に送れるが、顔の辺りにやけど痕があるせいで恋愛に関して躊躇してしまう。
その他の人物
- クリス
- 記者。ある時自身が他人から善意を受けたことがきっかけで、それが誰かの考えによる善意のリレーだと知り興味を持つ。善意のバトンをもらった人の証言を通じてその都度バトンを渡した人への情報を聞き出し、善意の元をたどっていく。
- リッキー
- トレバーの父。酒癖が悪く酔うとアーリーンに暴力を振るい、家を出て行ってはたまにふらっと戻ってくるという生活をしている。トレバーから憎まれている。
- ボニー
- アーリーンの友人。1年間デート禁止を掲げているアーリーンがシモネットと二人でいるところを目撃し、デートしていると勘ぐる。
- アダム
- トレバーのクラスメイト。天然パーマらしき髪型が特徴。同じ学校の3人組にいじめられている。
- ミシェル
- クリスの彼女。クリスが300ドル費やしてラスベガスまで行って取材しに行くほど価値のあるニュースかどうかを疑う。
- ジョーダン
- 詳しい職務は不明だが、知事と共に行動する人物。数年前から取材で知事に近づくクリスとは顔見知り。クリスからある取引を持ちかけられる。
- 一流弁護士
- ある事件を追ったクリスが犯人により車を壊されて困っていた所を偶然通りかかり、新車のジャガーを善意でプレゼントする。
- ジェリー
- 薬物中毒の影響でホームレス生活をする。ある日外でお腹を好かせていた時にトレバーと目があったことから、トレバーの家で食事と宿泊をさせてもらう。
- グレイス
- トレバーの祖母(アーリーンの母)。アーリーンとは長らく疎遠で車上生活を送っている。ある犯罪を犯した男(シドニー)を逃がす手伝いをして善意のリレーをつなぐが、男が善意を他人に回すか不安に感じる。
- 自殺志願者の女性
- 理由は不明だが、人生に悲観し高架橋から投身自殺を図ろうとする。
- シドニー
- 妹に右腕を刺されてケガをしたため病院に来た男。病院内で銃を発砲する物騒な性格。診察の順番をめぐって医者と口論になる。
キャスト
※括弧内は日本語吹替
- トレヴァー・マッキニー - ハーレイ・ジョエル・オスメント(進藤一宏)
- ユージーン・シモネット - ケヴィン・スペイシー(田原アルノ)
- アーリーン・マッキニー - ヘレン・ハント(小林優子)
- クリス・チャンドラー - ジェイ・モーア(横堀悦夫)
- ジェリー - ジェームズ・カヴィーゼル(寺杣昌紀)
- リッキー・マッキニー - ジョン・ボン・ジョヴィ(宮本充)
- グレイス - アンジー・ディキンソン(斉藤昌)
- シドニー・パーカー - デヴィッド・ラムゼイ
- トールセン氏 - ゲイリー・ワーンツ(青森伸)
- ショーン - ショーン・パイフロム
スタッフ
- 監督:ミミ・レダー
- 製作:ピーター・エイブラムス、ロバート・L・レヴィ、スティーヴン・ルーサー
- 製作総指揮:メアリー・マクラグレン、ジョナサン・トレイスマン
- 原作:キャサリン・ライアン・ハイド
- 脚本:レスリー・ディクソン
- 編集:デイビッド・ローゼンブルーム、A.C.E.
- 撮影:オリヴァー・ステイプルトン、B.S.C.
- 音楽:トーマス・ニューマン
- 美術:レスリー・ディリー
- 衣装:レネー・アーリック・カルファス
音楽
サウンドトラックはトーマス・ニューマンが作曲し、2000年10月31日にリリースされた。[2]
脚注
- ^ 2001年興行収入10億円以上番組 (PDF) - 日本映画製作者連盟
- ^ “Pay It Forward”. AllMusic. 2024年7月24日閲覧。
関連項目
外部リンク
恩送り
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恩送り(おんおくり)とは、誰かから受けた恩を、直接その人に返すのではなく、別の人に送ること[1][2]。
概要
「恩送」という言葉は江戸時代の文献ですでに使用されているが、その意味は「おんがえし(恩返)」と同一だとされる[3]。
しかし、井上ひさしは「恩送り」が、誰かから受けた恩を、自分は別の人に送る。そしてその送られた人がさらに別の人に渡す。そうして「恩」が世の中をぐるぐる回ってゆくことを指しているとした[1]。この意味での「恩送り」は、親切をしてくれた当人へ親切を返そうにも適切な方法が無い場合に第三者へと恩を「送る」。恩を返す相手が限定されず、比較的短い期間で善意を具体化することができる。
こうした用例での「恩送り」も江戸時代から存在していた[1]。事実、『菅原伝授手習鑑』には次のような記述がある。
また、「恩送り」と意味が相当程度に重なる別の表現が古くから日本人にはしっかり定着している。「情けは人の為ならず」というものである。「情けは人の為ならず」とは「情け(=親切)は、いずれは巡り巡って(他でもない)自分に良いことが返ってくる[5](だから、ひとに親切にしておいた方が良い)」という意味の表現である。「恩送り」や「情けは人のためならず」といったモラル・常識は、各地の人間社会が古くから持っている良識のひとつ。
類似した考え方は、日本以外の国々、様々な国・共同体にも見られる[6]。英語ではA kindness is never lost(親切は決して失われないので実行しよう)と表現している。ただし、現代の先進国などでは人々が、こうした良識やモラルを忘れがちになり、極端に利己的で近視眼的になる傾向があることや、それが社会的に見ると様々な害を引き起こしていることはたびたび指摘されている[誰によって?]。
そのような状況の中、近年、英語圏では「恩送り」に相当する概念が、Pay it forward(ペイ・イット・フォーワード)の表現で再認識されるようになった。
- Pay it forward or paying it forward refers to repaying the good deeds one has received by doing good things for other unrelated people.
この"Pay it forward"をテーマに小説『ペイ・フォワード 可能の王国』が書かれ、この本のアイディアをもとにペイ・イット・フォーワード財団が設立された。この財団は学校の生徒、親、教師に、このPay it forwardの考え方を広める活動をしている。
日本でも近年、「恩送り」という考え方に言及している本はいくつもある[7]。
脚注
- ^ a b c 井上ひさし『井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室』
- ^ 『恩送り』 - コトバンク
- ^ “精選版 日本国語大辞典「恩送」の解説”. コトバンク. 2021年9月2日閲覧。
- ^ 寺子屋の段[リンク切れ]
- ^ 『広辞苑』第2版1656頁
- ^ en:Pay it forwardにも、古くからの言及に関する説明あり。
- ^ 例えば、次のような本。
- 中村文昭著『非常識力。でっかいことを考える、カッコいい大人になれ! 』(PHP研究所、2007)
- 志賀内泰弘著『毎日が楽しくなる17の物語:ようこそ「心の三ツ星レストラン」へ』2009、等々等々。
『(恩師などから)受けた恩を返すなんて、とてもできることじゃない。でも受けた恩をまた別の人に送り伝えてゆくことはできるんだ。そのことを「恩送り」というんだ (...)受けた恩に比べたら、自分は何分の一も返せないのに恩返ししようなどとはおこがましいかもしれない。だが、恩送りなら、小さなことから少しずつ、できることをやればよいし、それしかできないだろう』
関連項目
- ペイ・フォワード 可能の王国
- お互いさまの街ふくしま - 恩送りの考え方を元に、生活困窮者をさりげなく救済する事業
関連書
- ひまわり『恩送り』日本文学館、2011 ISBN 4776531127
外部リンク
- ペイ・フォワードのページへのリンク