ブリタニア篇
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/30 14:42 UTC 版)
「アーサーの甥、ガウェインの成長記」の記事における「ブリタニア篇」の解説
ローマ帝国に平和が戻ったものの、退屈した陣羽織の騎士は新たな冒険を求めブリタニアへ向かうことにした。別れ際に、皇帝は陣羽織の騎士に、その出生の秘密の手紙などが入った小箱を渡すが、アルトゥルス王(Arturus。アーサー王のこと。陣羽織の騎士の叔父)への謁見がかなうまで、その中身を見てはならないと禁じる。 ブリテンに到着しカエルレオン(英語版)の宮廷にむかう陣羽織は、ウスク川(英語版)の氾濫により渡瀬をよぎれず足止めを食らう。宮廷では、アーサーの妃(ここではグウェンドレナ Gwendolena だが、グィネヴィアのこと)は、ローマからきた剛毅の騎士の到来を感知し、その騎士は金の指輪と馬2頭と3万金(金貨3枚)を献上してくれるでしょうと予言する。 アルトゥルス王はカイウス(Kaius。ケイ卿)をともない夜間に忍び出て、その騎士と力試しすることにしたが、2人とも相次いで落馬させられ、ウスク川でずぶぬれになる。 その日の午後、陣羽織カエルレオン宮廷でアルトゥルス王に正式に謁見し、言われたとおりに出生の秘密の小箱を渡す。アーサーは一度退廷し、小箱を開ける。すると、驚くことに姉のアンナが持っていたはずの指輪がおさめられ、アンナ直筆の手紙には、この少年がアンナの息子であることが示されていたのである。アンナと義兄のロット王(このころには夫婦になっていた)にも確認を取り真相は明らかとなる。喜ぶアーサー達であるが、陣羽織の騎士には自分の身寄りであることの事実を伏せる。しかも、簡単には王の配属の騎士団(ここでは円卓の騎士という表現はされない)の一名には加えず、他の騎士がすべてしくじった冒険に、単独で挑み成功せよ、そのあかつきには騎士にするなどとたきつける。 数日後のこと、「乙女の城」(castellum Puellarum; "Castle of Maidens")の女城主である乙女から救援の報せが入った。彼女を力尽くでも自分のものにしたい異教徒王から、包囲攻撃を受けていたのだ。アルトゥルス王は、この異教徒王とはかつて何回か手合せしたが、勝ったためしはなく、気が重いまま軍を結集させて出征するが、包囲網にたどり着いたときは時すでに遅し。乙女の城はすでに陥落、異教徒王は乙女を自国へ連れ去るべく行進中だとの伝令がやってきた。アルトゥルスは、これを分捕り品をしこたま抱えた異教徒軍を追撃し、もっとも手薄と思った敵の殿軍 (しんがり)にくらいついた。ところが思いのほか、そこは精鋭で固められており、アルトゥルスの軍は総崩れとなって敗走を余儀なくされる。丘の上で観戦していた陣羽織の騎士は、アルトゥルスとすれ違いざま「おやおや、その散り散りになりようは、鹿狩りか、兎と追いかけっこか?」など皮肉を浴びせかける。王は、「そちらこそ、他人が死闘をくりひろげるあいだ、森のなかで隠れ潜むお手並みはなかなかのものだ」と応酬する。 アーサー軍の撤退をやりすごし、陣羽織の騎士は単独で突撃。あっというまに斥候隊をやぶり、「冬の嵐のごとく」軍のまっただなかに切り抜け、抵抗する相手を負傷させ、ついに親衛隊をみつけると、馬を駆り、横たえたランス (槍)で異教の王を鎧ごと串刺しに。そのまま瀕死の異教徒王を放り投げると、乙女がまたがる馬を手綱引いて元の道を後戻りしようとした。だが、異教徒の親衛隊は、王の戦死にもめげずに猛攻撃を仕掛けてきた。さすがに女性が同伴では足手まといである。陣羽織の騎士は付近に堀で囲まれた城塞をみつけ、乙女をその中に避難させた。その城塞に通じる橋は狭く、1人ずつしか陣羽織の騎士にかかることができなかった。陣羽織の騎士の攻撃は容赦なく、ある敵は絶壁や水際から飛び込んで逃げ、残りもほぼ切り殺され、異教徒の軍隊は壊滅。 陣羽織の騎士は、冠を頂いたままの異教徒王の首級を切り落として戦旗にくくりつけ、乙女をともなってアルトゥルスの宮廷へ凱旋。「たったひとりで敵将の首をとったとぞ」と、大威張りで宣言する。それまで負け戦でくよくよしていたアルトゥルス王も、大喜び。「ほんに、貴殿は我らの仲間になるにふさわしい。特別な栄誉を与えねばなるまいぞ。しかしそこもとの素性はつゆと知れぬ。教えてはくれまいか」などと、わざとらしく誰何する。陣羽織の騎士は、「ゴール(フランス)生まれのローマ育ち。人は私を陣羽織の騎士と呼びまする」などと答えるしかない。すかさずアルトゥルス王は、それはそなたの思い込み、まったくの間違いである、と諭し、騎士の本名がワルウアニウス(ガウェイン)であること、ロット王とアンナの息子であることを公表したのである。
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