フライング・ダッチマン
(フライングダッチマン号 から転送)
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フライング・ダッチマン(Flying Dutchman)は、近代イギリスの伝承に現れる幽霊船、もしくはその船長のオランダ人である。船長はさまよえるオランダ人、船はさまよえるオランダ船やフライング・ダッチマン号と訳すこともある。
伝承の要旨
アフリカ大陸南端近くの喜望峰近海で、オランダ人船長が風(あるいは神)を罵って呪われた。船は幽霊船となり、船長はたった1人で永遠に(あるいは最後の審判の日まで)さまよい続けることとなった。
起源
似た伝承として、北海を最後の審判の日までさまようドイツのフォルケンバーグ船長(Falkenburg)の伝説があった。
幽霊船の形で現れる最古の文献は、1795年のジョージ・バリントンの『ボタニー湾への旅』(Voyage to Botany Bay)で、次のような話である[1]。
- オランダ人が喜望峰沖で遭難し、乗組員は全員死亡した。
- 1隻の船が同行していたが、無事ケープ(現・南アフリカ共和国)に着き、一度ヨーロッパに帰って、またこの海域に戻ってきた。
- 事故のときと同じ緯度に達したとき、遭難した船の幽霊船を見張りが見つけた。
- 船がケープに着くと、船員はその話を触れ回り、幽霊船は「フライング・ダッチマン」と呼ばれるようになった。
1821年の雑誌『ブラックウッズ・マガジン』では、次のように書かれた[2]。ほぼ現在知られる物語になっている。
- 幽霊船は、70年前(1751年)に出港したアムステルダム船である。
- 船長はヘンドリック・ファン・デル・デッケン(Hendrik van der Decken)である。
- ケープタウンへ向かってテーブル湾に入る直前で激しい向かい風となったため、船長は風を罵った。
- その夜、船が船長に「今夜中に湾に入る気か?」とたずね、船長は「最後の審判の日までかかっても入ってやる」と答えた。
- その結果、船は今も湾に入れず近海をさまよっている。悪天候のときのみ見ることができる。
ワグナーのオペラ
フライング・ダッチマンは、リヒャルト・ワーグナーのオペラ『さまよえるオランダ人』(1842年)の題材として有名である。このタイトルは和訳されているだけで、原題 Der fliegende Holländer はフライング・ダッチマンのドイツ語訳である。
船長はたった1人で永遠にさまよう運命にあるが、7年に一度上陸でき、そのとき船長を愛す女性に出会えれば、呪いから解放される(死ぬことができる)。物語は、船が幽霊船となってかなりの年月が経過したのちのノルウェーで始まる。
出典
- ^ Barrington, George (2004 [1795]). Voyage to Botany Bay. Sydney: Sydney University Press. pp. 30. ISBN 1920897208
- ^ Music with Ease (2008年). “Source of the Legend of The Flying Dutchman”. Music with Ease. 2008年2月23日閲覧。
関連項目
- さまよえるオランダ人
- さまよえるユダヤ人
- パイレーツ・オブ・カリビアン - 幽霊船「フライング・ダッチマン号」が登場
- ONE PIECE - 同上
- スポンジ・ボブ - サブキャラクターとして幽霊船と幽霊「さまよえるオランダ人」が登場
- hyde - この伝説を下敷きにした『THE CAPE OF STORMS』という楽曲を発表している
フライング・ダッチマン号
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「パイレーツ・オブ・カリビアンの艦船」の記事における「フライング・ダッチマン号」の解説
『デッドマンズ・チェスト』に登場した、デイヴィ・ジョーンズが船長の幽霊船。ブラックパール号とほぼ同じ大きさである。『ワールド・エンド』でウィル・ターナーが船長になった時は船体に付いていたフジツボや海草がとれたため、船の姿は船長の姿に影響されるようである。向かい風では無敵と言われる速度性能を持つが、追い風ではブラックパール号に劣る。デイヴィ・ジョーンズのセリフによると、「船長の思うように帆を進める」ことができる。船首の形は独特でさながらワニの口のような形である(『ワールド・エンド』のNGシーン集ではフライング・ダッチマンという名前を思い出せなかったジョニー・デップが「ワニ船」と言ってごまかしているシーンがある)。木造帆船にもかかわらず潜行能力が有り、潜水中でも自力航行が可能であるが水は入りっぱなしのようである。また、何を推進力にしているのかは不明。急速潜行にかかる時間は12秒ほどと、かなり速い。2層の砲甲板に38門の大砲を搭載し、艦首にも砲身を三本束ねた回転式の船首カノン砲を2基6門搭載している。また、船一隻飲み込むほどの巨大なイカであるクラーケンを操るための装置を持っている。 『ワールド・エンド』では、東インド貿易会社率いる海軍の代表として渦の中でブラックパール号と激戦を繰り広げた。結果、船長のデイヴィ・ジョーンズがウィル(ジャックの助力で)の手で心臓を刺され絶命したことを契機に、船長が彼からウィルに移った。 シリーズ5作目の『最後の海賊』にも久しぶりの登場。物語に直接関わりはしなかったものの、冒頭と終盤のシーンにのみ登場した。 ガレオン船をモデルにして制作された(デッドマンズチェスト プログラム参照)。名前の意味は「さまよえるオランダ人」で、伝説の幽霊船である。
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