バルサ【(スペイン)balsa】
バルサ

木材の専門家でなくても、また、かなり年少の人々でも、このバルサという名前を知っているのではないでしょうか。この木材は、世界でもっとも軽いものの一つです。そして、模型飛行機の木材の部分にはこの木材が使われていることが多いのです。そういう点で、あるいは木材という意識なしに、バルサという名が、一般の人々に記憶されているのかも知れません。バルサは、現在ではかなりな量、張り合せて大きな板にして、それを飛行機の床材料として用いられていることもあります。さらに、液化ガスを運ぶ大型の船に絶縁材料としても大量に使われています。こんな軽くて、軟かい木材がと思われるかも知れませんが、比重が低く、したがって、木材の中には大量の空気が含まれていて、絶縁用としては、非常に優れており、また、同じような比重をもった他の材料に比べると、強さがあるからです。材木屋にある木材とは、一寸違った扱いを受けている木材といえます。 ■木材 |
バルサ/バルサボード
バルサ
バルサ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/19 23:48 UTC 版)
バルサ | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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フランセス・W・ホーンによるスケッチ
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Ochroma pyramidale (Cav. ex Lam.) Urb. (1920)[1] | |||||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
バルサ |
バルサ (英語: Balsa、学名: Ochroma pyramidale) は、アオイ目アオイ科[注 1]の高木。一属一種で、属名の Ochroma(オクロマ) は「色が薄い」という意味がある[2]。熱帯アメリカ原産[2]。材は非常に軽くて丈夫なため、飛行機模型の材料などに利用される。
特徴
南米の熱帯地域からメキシコ南部が原産。成長が早く、太陽の光を浴びてみるみる生長し、7年ほどで樹高は30メートル (m) に達する[2]。常緑樹であるが、乾季が長い場合は落葉する。幹は滑らかで、正円柱形になる[2]。葉は掌状でやや裂葉し、長さ30 - 50センチメートル (cm) ほどとなる。
花は非常に変わっていて、ビロードのような花芽がしばしば真上に向かって成長した姿は、まるでアイスクリームのコーンのような姿によく似ている[2]。花は夕方から開花し、大きな花弁は5枚でクリーム色、豊富な花蜜で花粉の媒介者を誘う[2]。受粉媒介者には、夜に活動するオマキザルやキンカジュー、オリンゴによって花粉が運ばれる[2]。
幹は木目が粗く、非常に軽く軟らかい材木になる。細胞が大きくて水分を多く含むためスポンジのようになっているが、細胞構造は硬いため、乾燥させると軽さの割に堅い木材になる[2]。バルサの密度は約140キログラム毎立方メートル (kg/m3) ほどで、約100 - 200 kg/m3の範囲にあり、これは一般的な木材の約1/3である。このため、バルサは模型や浮き、救命胴衣などに使用されている。
太さ数十cmのバルサ原木は、縦横十字に割られた後、一方の面に平行に製材される。したがって、板材は年輪に直角に切り出されたものから徐々に斜めになり、最後には年輪と平行な板目になる。板の面と年輪が直角に近いものは「Cカット」「コーター・グレイン」などと呼ばれ、幅方向に曲がりにくく狂いにくい材料である。これは柾目であり、1本の原木から少ししか取れないので、貴重品である。柾目のバルサは、表面にマダラ模様がある。
バルサ材

バルサ原木を加工して板状、または棒状に加工した木材をバルサ材と呼ぶ。薄ベージュ色のバルサ材は非常に軽くて[2]、加工しやすく、重量に比べて強度が大きい[3]。そのため、1930年頃にはアメリカ合衆国において建築資材、映画セット、航空機、模型航空機などの分野で急速に普及した。
軽いバルサ材は筏づくりにも利用され、スペイン語で筏を balsa(バルサ)とよぶほどである[2]。中米の古代文明(5世紀以前)でバルサ製の筏が使われ、遠洋航海が行われた[4]。1947年には、ノルウェーの人類学者トール・ヘイエルダールが「ポリネシア人は南米・中部アンデス地帯から移住した」という仮説を証明するため、バルサ材などを材料にした筏コンティキ号でペルーを出発して約8000キロメートル (km) を100日あまりで航海し、東ポリネシア・ラロイア環礁に到着した[2][注 2]。
建築資材
アメリカでエンパイア・ステート・ビルディング(1930年)など高層建築が発達して高さが競われた時代、風で振動するのを抑えるため、軽くて圧縮に強い木材を梁の内部の補強や壁に使う建設技術が一般化し、バルサが適切であるとされた。1920年代中盤、米国で高層ビルの建設ラッシュが始まってから、商業ベースでの大規模なバルサ材の伐採が始まった。
映画セット
バルサ材は工作性に優れて軽いことから、ハリウッドなどで大量に制作される大道具・小道具の材料となる。バルサは柔らかく簡単に壊れるので、活劇場面で盛大に壊されるような物を作ると、俳優や車両へのダメージが少ない。
1985年の映画『コマンドー』でシュワルツェネッガーが持ち上げる電話ボックスはバルサ材で造られた。
京都太秦の撮影所の近くには、映画向けのバルサ材取り扱い店が有った。
航空機

1930年にNACA(現NASA)は第354号報告書(NACAテクニカル・レポート)を発表し、スプルース材などと共に、木製航空機用資材としてバルサ材を収録している[5]。
第二次世界大戦中、イギリスではアルミニウムが不足していたが、木工職人が大勢いたため、航空機メーカーのデ・ハビランド・エアクラフト社はデ・ハビランド モスキートをはじめとする木製の偵察機、爆撃機、戦闘機を多数製造したが、その材料はバルサ材を樺材の間に挟んだ合板であった[2]。当時、時速640キロメートル (km) 以上で飛ぶバルサ材の爆撃機は、世界最速の作戦機の一つであった[2]。
ヴォート社では樹脂を挟んだバルサ材をハニカム構造とし外部にアルミ板を張った「メタライト(Metalite)」をXF5UやF6Uに使用していた。
時代が下り、ジェット機が出現してからも、バルサ材は同じ用途に使われ、アメリカのF4Dでは、バルサ材を薄いアルミ板で挟んだ成型材が使われた[要出典]。
模型航空機

1930年にアメリカのモデラーがバルサ材を使った模型機を制作し、同年のウエークフィールド級世界選手権大会戦で優勝した。以後、バルサ材は模型航空機の主要な材料となった。
その他の用途

バルサ複合材は、風力発電の風車のブレード(羽)やサーフボードにも使われている[2]。
脚注
注釈
- ^ 最新の植物分類体系であるAPG体系ではアオイ科(Malvaceae)に分類されるが、古いクロンキスト体系や新エングラー体系ではパンヤ科(Bombacaceae)に分類されている[1]。
- ^ しかし現在の主流は、ポリネシアに最初にやってきたのは東南アジア人だったとする説である[2]。
出典
- ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Ochroma pyramidale (Cav. ex Lam.) Urb. バルサ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2024年8月31日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o ドローリ 2019, p. 178.
- ^ 『世界の有用木材300種』(農林省林業試験場木材部編、日本木材加工技術協会出版)には、バルサは319種の275番目に収録され、「気乾比重0.16、世界で最も軽い木材とされる。用途としては、救命具材、絶縁材、玩具材、模型飛行機材」とされている。
- ^ 『雑学 実用知識 特装版』 三省堂企画編修部 編 第6刷1991年(1988年) p.311、古代ペルーにおいてポリネシアの島々まで遠距離航海が行なわれた。
- ^ L.J.Markwardt "Aircraft Wood:Their Properties, Selection, and Characteristics"
参考文献
- ジョナサン・ドローリ 著、三枝小夜子 訳『世界の樹木をめぐる80の物語』柏書房、2019年12月1日。ISBN 978-4-7601-5190-5。
外部リンク
バルサ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/01/06 05:01 UTC 版)
「666〜サタン〜の登場人物」の記事における「バルサ」の解説
戦艦型オーパーツ「神(シン)」の副司令官で総司令のクロスがサタンとの闘いに向かってから、代わって総司令となった。神の絶大的な力に魅入られて政府から離反し、独立国家ジパンを名乗って世界を回っていたものの、程なくしてミコにあっさりと肉体を奪われる。政府から離反することもミコには全て見えていた模様。
※この「バルサ」の解説は、「666〜サタン〜の登場人物」の解説の一部です。
「バルサ」を含む「666〜サタン〜の登場人物」の記事については、「666〜サタン〜の登場人物」の概要を参照ください。
「バルサ」の例文・使い方・用例・文例
- ロース芯のステーキにはバルサミコソースを添えるのが好きです。
- (死体を)バルサムと薬品、および他の化学物質で保存すること
- バルサム樹脂のにおいがするさま
- 浮揚性があるバルサ材のボート
- バルサムを含む、それに関するまたはそれの
- バルサミコの香り
- バルサで作った軽いいかだ
- 油とバルサムの混合物から成る神聖な軟膏
- 唇に塗るバルサム
- バルサ材の軽さ
- バルサムを産出するどんな種子植物のいずれか
- 非常に短い葉以外はバルサムモミに類似した南アレガニー山脈の小さな成長が早いが短命なモミ
- 基部のロゼットにうぶ毛の生えた葉と黄色い花と長いバルサムのにおいのつけられた主根をもつバルサモリア属の植物
- バルサムの香りがする草本の小さい属
- 披針形の葉の茂みと、長い柄の上の大きな濃い黄色の花で終わる、丈夫な葉の多い茎を持つ、バルサムのような樹脂の草本
- バニラビーンズといくつかのバルサム樹脂で見つけられた水晶のような合成物
- 1つの種:バルサ
- 特に救命具に使われるバルサの強く軽量の木材
- トルーバルサムと高級家具と指物のために使われる香りのよい堅い木材を産するアメリカの熱帯地方の中型の高木
- 香りのよいバルサムを産する南アメリカと中央アメリカの高木
バルサと同じ種類の言葉
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