バイナリー発電
別名:地熱バイナリー発電、バイナリーサイクル発電、バイナリーサイクル
英語:binary cycle
地熱発電において、水よりも沸点が低い液体をタービンを回す媒体に使用し、水では発電が難しい低温度の地熱でも発電可能にする方式である。
バイナリー発電では、低温の蒸気もしくは熱水を「加熱源サイクル」の中で循環させ、これとは別に、ペンタンなどの低沸点媒体を「媒体サイクル」の中で循環させる。加熱源サイクルが地熱から熱エネルギーを得て加熱し、媒体サイクルを温める熱源として供給する。媒体サイクルは加熱源サイクルの熱によって気化し、タービンを回転させる動力となる。ちなみにペンタンの沸点は36℃である。
バイナリー発電の「バイナリー」は元々「2つの」という意味であり、2系統の循環系を使用するという意味でこの名称が用いられている。
バイナリー発電が普及すれば、従来の技術では発電に向かなかった低温の地熱を持つ地域でも地熱発電が可能になる。地熱発電は再生可能エネルギーであり温暖化ガスの排出が極めて少なく、また風力・太陽光のように天候の影響をほぼ受けないというメリットを持っている。日本にもバイナリー発電に適した地域は多いとされており、期待されている。
関連サイト:
地熱バイナリー発電 - 西日本環境エネルギー研究所
バイナリーサイクル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 03:48 UTC 版)
地下の温度や圧力が低いため地熱発電を行うことが不可能であり、熱水しか得られない場合でも、アンモニア、ペンタン、フロンなど水よりも低沸点の熱媒体(これを低沸点流体という)を、熱温水で沸騰させタービンを回して発電させることができる場合がある。これをバイナリー発電(binary cycle)という。 温泉発電(温泉水温度差発電) 直接入浴に利用するには高温すぎる温泉、例えば70~120℃の源泉を50℃程度の温度に下げる際、余剰の熱エネルギーを利用して発電する方式である。熱交換には専らバイナリーサイクル式が採用される。 発電能力は小さいが、占有面積が比較的小規模ですみ、熱水の熱交換利用するだけなので、既存の温泉の源泉の湯温調節設備(温泉発電)として設置した場合は、源泉の枯渇問題や、有毒物による汚染問題、熱汚染問題とは無関係に発電可能な方式である。 地下に井戸を掘るなどの工事は不要であり確実性が高く、地熱発電ができない温泉地でも適応可能であるなどの利点がある。 日本ではイスラエルのオーマット社製が開発したペンタンを利用する発電設備が八丁原発電所で採用されている。発電設備1基あたりの能力は2MW(BWR-4型原発のおよそ400分の1の定格で一般家庭に換算して数百世帯から数千世帯分の需要を賄う)で、設置スペースは幅16メートル、奥行き24メートルとコンビニエンスストア程度の敷地内に発電設備が設置されている。『朝日新聞』の報道によれば、日本国内にはバイナリー発電に適した地域が多く、全国に普及すれば原子力発電所8基に相当する電力を恒久的に賄うことが可能であるとの経済産業省の見解がある。
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