タイコン官との別れとは? わかりやすく解説

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タイコン官との別れ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/07 13:55 UTC 版)

孫太郎」の記事における「タイコン官との別れ」の解説

孫太郎バンジャルマシンで何不自由な暮らしていたが、年を経るにつれて望郷の念に駆られるようになり、寝ても覚めても故郷思い出すようになっていった。そのため、孫太郎はなんとか故郷帰るべく、中国人たちが儒教思想から来る「孝」の精神を最も重視し肉親大切にしているということヒントに、ある作戦思いつく。 そして孫太郎バンジャルマシン来てから6年後の明和7年1770年)秋、ついに孫太郎チャンス巡って来る。この日、タイコン官は外出しており、屋敷にはタイコン官の老母孫太郎残されていた。老母は肩の調子悪かったのだが、掛かりつけ医者がこの日は来られなかったため、孫太郎老母の肩を揉むことになった孫太郎老母の肩を揉みつつ、他に誰も聞いていないことを確認した後、日本残されている年老いた両親気がかりであること、自分には兄弟がいないために誰も両親面倒を見る人がいないことなど、自分身の上老母告げた。その話を聞いた老母涙ぐみ孫太郎境遇に大変同情したのだが、実はこれらの身の上話はすべて嘘であり、孫太郎の母は孫太郎産んだ時に亡くなっており、父も15歳時に死別していて、故郷には兄が1人いるだけであった。 それから数日後孫太郎主人タイコン官に呼び出された。タイコン官は孫太郎日本帰りたいかどうか尋ね、これに対し孫太郎両親最期見届けたらまたバンジャルマシン戻りタイコン官に再び仕えると答えた孫太郎答え聞いたタイコン官は、日本遠い国であるから一度行った帰って来られるわけがなく、お前の事は当家30文で買ったのだから、当家一生仕えなければならないはずであると言いつつ、孫太郎両親を思う気持ちは、母から聞いてよくわかったので便船があり次第日本帰ってもいいと告げたその後タイコン官は孫太郎帰国協力的で、孫太郎長崎行きオランダ船に乗れるよう取り計らったのもタイコン官である。 そして翌明和8年1771年4月バタヴィアに向かうオランダ船が入港し孫太郎はその船に便乗することになった孫太郎帰国に際してタイコン官や仲間は、 蚊帳1帳 剣1振 木綿4,5端 先住民民族衣裳3、法被3、1 藤葛茣蓙と籠、羅紗1反 鼈甲1枚インコ1羽とそのエサ といった大量土産孫太郎持たせ浜辺まで見送り出たその時の様子について、 「老母をはじめ、家内人々殘らず皆濱邊出て銘々別れをおしミける。老母下男の肩に手を掛、片手突き孫七申しけるハ、汝、願ひ叶ふて、噫(ああ)、本望成べし。日本歸り我が情を思ひ出さバ、父母孝行盡せ。隨分船中息災にて首尾能(よく)古郷歸れよ、と有ければ、孫七別れをおしみ、此年月の御高恩此度の御情ケ、寢覺めにも忘るる事候(さうら)まじ。御老母様隨分隨分御機嫌よく御渡り遊され候(さう)らえと、相述(あひのべ)る。其外主人を始、家内隣家人々に至る迄、夫夫暇乞(それぞれいとまごひ)をなす。七八年此(この)かた馴染重ね至極心安語り合し人々なれバ、誰一人も涙を飜(ひるがへ)さぬ者もなし。孫七古郷歸るうれしけれど、深く情を受し人々なれバ、さすが離れ難く、眼をうるおし、さらバ暇乞(いとまこふ)」 【現代語訳老母をはじめ、家中人々は皆残らず浜辺出てそれぞれ別れ惜しんだ老母下男に肩を借り片手ではをつきつつ、孫七にこう言った。「お前さん願い叶ってきっと本望であろう日本帰って、私の情け思い出すのであればその分両親親孝行しなさい。船旅病気かかったりせず、無事故郷に帰りなさい」と言って下さったので、孫七別れ惜しみ、「ここに来て以来恩義加えこの度のこのお情け決し忘れることはありません。御老母様もどうかどうかお元気でいて下さい」と礼を述べたそのほかに主人始め家中人々から近所の人々に至るまで、それぞれ別れ挨拶をした。7~8年にわたる付き合いで、心を許し語り合える人達であったので、誰一人として涙を流さない者はいなかった。孫七故郷へ帰ることができるのは嬉しかったが、深く情を交わした人達であったので、なかなか離れ難く、目に涙を浮かべつつ別れ告げた。】 — 『漂流天竺物語』 と記され孫太郎帰国に際してたくさんの人が見送りに来たことがわかる。この後ボート移った孫太郎見送り人々お互いに見えなくなるまで手を振り合い、その姿が見えなくなった後も、見送り人々たき火をして、その煙で孫太郎見送り続けた

※この「タイコン官との別れ」の解説は、「孫太郎」の解説の一部です。
「タイコン官との別れ」を含む「孫太郎」の記事については、「孫太郎」の概要を参照ください。

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