ストーリー・結末
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/12 16:29 UTC 版)
「ポートピア連続殺人事件」の記事における「ストーリー・結末」の解説
黒い噂の絶えない金融会社、「ローンやまきん」の社長・山川耕造が殺害された。しかし耕造の発見された部屋は完全な密室であった。兵庫県警察の刑事である主人公(ボス)は事件の究明のため、部下のヤス(真野康彦)と共に捜査を開始する。 遺体の第一発見者、耕造の秘書である沢木文江と、守衛の小宮六助には死亡推定時刻当時のアリバイがあり、犯人ではあり得ない。耕造は他殺ではなく自殺という可能性もあった。しかし事件現場の地下からは金庫を隠すための通路が発見され、被害者である耕造は平田、川村という人物と金銭のやり取りをしていたことが明らかになる。ところが平田や川村とは連絡が取れず、また他の親族や関係者たちは各々後ろ暗い事情を抱えており、冤罪や別件逮捕を恐れて捜査には非協力的であった。 主人公は現場に残された遺留品を元に、関係者のアリバイや人間関係を洗い直す。耕造の甥である山川俊之は密かに麻薬の取引に関わっており、また耕造から多額の借金をしていた平田には娘がおり、その平田由貴子は俊之から交際を迫られていた。実は由貴子は事件の直前、父親の借金のことで耕造に会っていたが、耕造の対応は親身であったといい、平田親子には耕造を殺害する動機がない。俊之は麻薬取引の容疑で逮捕されるが、そのことで逆に曖昧だった俊之のアリバイが明白になり、捜査は振り出しに戻る。 主人公は相棒のヤスと共に、現場の検証や、聞き込みによる情報収集、時には暴力を辞さない手段で、真相に迫ろうとする。しかしその最中、連絡の取れなかった平田、川村が相次いで不審死を遂げているのが発見され、これが自殺とも、第2、第3の殺人事件ともつかない。ヤスは事件のたびに、これは追い詰められた真犯人が自殺した結果に違いないと主人公に進言するが、主人公はヤスの推理に納得せず、捜査を続行する。 第2の事件で死亡した平田は、耕造の死亡推定時刻より前に死んでいることが明らかになり、多重債務を苦にしての自殺であると判明するが、第3の事件で死亡した川村は耕造と死因が同じで、他殺による連続殺人が疑われた。川村の知人、ストリッパーの夕日おこいの取り調べから得た情報で、過去に川村が耕造と共謀して詐欺事件を起こしており、そのことをネタにして耕造を恐喝していたことを掴んでいた主人公とヤスは、第一発見者の文江が、かつて耕造と川村による詐欺事件が原因で自殺した被害者夫婦の娘であったことを知らされる。 しかし、文江には両親の復讐という動機や、第一発見者を装って事件現場を密室のように見せかける手段はあっても、完全なアリバイがあるため、事件に関わっているとしても耕造の殺害を実行した共犯者は別にいるはずである。既に逃走していた文江を追って、彼女の故郷である淡路島へと向かった主人公とヤスは、文江には兄がいたことを突き止めるが、彼が養子として引き取られた後の行方は分からない。 淡路島から戻った主人公とヤスは、耕造の自宅を捜査していた本部から、新たなメモが発見されたことを知らされ、地下通路には更なる隠し扉があったことに気がつく。迷路状になった地下通路を探索した主人公とヤスは、その奥で耕造の懺悔が綴られた日記帳を発見する。実は、耕造は文江たちの両親を自殺に追い込んだことを悔いており、復讐のために秘書として志願してきた文江の正体も知っていた。そして耕造が金融業者として金儲けに邁進していたのは、贖罪として文江に遺産を相続させるためであった。耕造の意外な一面を知ったヤスは、もし文江の兄が復讐のために耕造を殺したのなら、このことを後から知って後悔したに違いない、という感慨を漏らす。 捜査本部に戻った主人公には、既に文江の兄の行方に心当たりがあった。主人公はヤスに命じ、捜査で得られた文江の兄の身体的な特徴の情報が、ヤス自身に当てはまっていることを本人に確認させる。犯人はヤスだった。ヤスは自分が耕造と川村を殺害したことを認め、観念する。逃走していた文江も共謀者として出頭し、自殺に見せかける意図で密室を作ったトリックを自白すると、ヤスは改めて、耕造の真意を知らないまま犯行に至ったことへの後悔を口にする。パトカーのサイレンが鳴り響き、エンディングとなる。
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