ステイオンタブ缶への改良とタブの切り離しの問題化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/01 02:44 UTC 版)
「イージーオープンエンド」の記事における「ステイオンタブ缶への改良とタブの切り離しの問題化」の解説
その後、缶の構造そのものを、缶体からタブが切り取られるプルタブ式から、缶体にタブが付いたままのステイオンタブ式に改善すべきとの運動がおこり、1989年(平成元年)度からビールや清涼飲料の缶の飲み口では従来使用されていたプルタブ式にかわってステイオンタブ式が本格的に採用されるようになった。 タブが缶から外れないように改良されて以降も、缶に固定されたリングタブのみを折り取って集めて送るよう呼びかけている団体が存在する。タブのみを集める理由として、回収している団体の一つである大阪府理容生活衛生同業組合や北海道江別市野幌の「プルネット」は「空き缶は輸送しづらい」「保管場所が足りない」「スチール缶が混じる可能性がある」といった理由を挙げている。 しかし、アルミ缶回収業者の団体であるアルミ缶リサイクル協会では、ステイオンタブのリング部分だけわざわざ集めるのは非効率である上に危険だとして、タブを取らずに「アルミ缶そのもの(空き缶全体)」を集めるよう告知している。また、通常のアルミリサイクル設備は比較的大型のアルミ塊を入れることを想定して作られているため小さなタブは異物として取り除かれてしまい、手作業による選別やタブ専用の設備を必要とするため通常のリサイクルに比べて業者側に金銭的負担がかかるという。 「スチール缶はタブの部分にアルミを使用しているためタブだけを分離することで不純物を減らせるのではないか」との声もあるが、アルミと鉄は比重が異なるため、溶かした後で鉄だけを分離することは容易であり、分離したアルミを含んだ鉄鋼スラグは、アスファルトコンクリート用骨材や路盤材として再利用される。そのため、スチール缶リサイクル協会も「『タブを外して集めましょう』といったことを奨励することは絶対行わないようにしてください」「『タブを集めると車椅子がもらえる』といった話を聞くこともありますが、当協会は一切関係ありません」とタブだけを切り離す行為を否定している。 全国ボランティア活動振興センターは「プルタブだけでなく、アルミ缶を集めた方が効率がいい。同じような活動をする場合はまず、どこでどの程度の金額に交換できるかを確認してほしい」と話している。 NHKでは2016年10月27日放送の番組『所さん!大変ですよ』でこの問題を取り上げ、リサイクル業者やボランティア団体、さだまさしといった関係者へのインタビューを行った。運動を行っている小学校や中小企業団体は、車椅子を入手するためには缶全体を集めた方が早いことは認めたものの、「小さなものでもコツコツ集めることで成果が出るので生徒への教育効果がある」「運動を行うことで企業間に一体感が出る」と、効率とは別のところに運動の意義があるとのコメントをしている。また、番組内では飲料メーカーにタブを収集している子供を持つ父兄から「タブが缶から外れにくいので取れやすくしてほしい」と運動本来の趣旨を考えれば本末転倒な要望が寄せられたと紹介している。 いずれにせよ、プルリングで車椅子に交換することは一部の団体が慈善事業として行っているため不可能ではないが、リサイクル業界はプルリングのみの持ち込みを歓迎していない。従来から活動している団体も、ベルマークのように集めて交換するのではなく、集めた空き缶を地金化して換金し購入している。
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