スウェーデンのキャッシュレス化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/11 02:50 UTC 版)
「スウェーデン・クローナ」の記事における「スウェーデンのキャッシュレス化」の解説
スウェーデンでは、電子決済による取引の普及が著しく、キャッシュレス社会に向かっており、世界一キャッシュレス化が進んでいる国家として知られている。 2012年にサービスを開始した、スマートフォンアプリによる非接触型決済システム「Swish」は、2015年12月の取引件数が1000万回を超え、2017年時点ではスウェーデン国民の半数以上が利用していると言われる。 鉄道やバスなどの公共交通機関の自動券売機は、カード専用で現金が使えず、現金で切符を購入する際には、専用の窓口に並ぶ必要がある 一般的な店での少額の買い物(飲食店や屋台のような店なども含む)でも、電子決済専用で現金が使えないことが一般化しており、店頭に「現金お断り」の表記も珍しくない 教会での寄付集めや子供の小遣いさえも電子マネーで支払う スウェーデンにある銀行店舗の半数以上が通貨を取り扱わず、ATMの撤去も(特に地方ほど)進んでいる 現在の学生など若い世代では、全て電子取引で、一切現金を使ったことがないまま育った人が大半 このように、市場ではデビットカード・クレジットカード・電子マネーといった電子商取引が支配的となっている中、現金の地位は既に低下しており、2016年現在、スウェーデンで発生した取引の98%までが現金を用いない電子決済による取引で、現金の流通は観光客や年配の世代、視覚障害者などの社会的弱者などわずかとなっている。その要因として、現金決済には上限額が法律で決められていることや、現金取扱いのコスト削減、強盗犯罪対策などが挙げられる。元ABBAで『マネー、マネー、マネー』の作者のひとりであるビョルン・ウルヴァースは、キャッシュレス化の推進者の1人として知られる。 例えば2013年4月22日に、大手銀行SEBのストックホルム・エステルマルムストーリ支店に銀行強盗が侵入したものの、銀行がキャッシュレス支店だったため、現金強奪の目的を果たせなかった。 このような状況から、現金の廃止が秒読みであるかのように報道されることもしばしばあるが、スウェーデン中央銀行は、現在のところ現金の完全廃止の予定はないことを明言している。逆にキャッシュレス化で、不便な思いをした人々が中心となって立ち上げた Kontantupproret という「キャッシュレス化反対運動」も存在している。 Kontantupproret の主張では、キャッシュレス化によって、銀行強盗や路上強盗が減った代わりに詐欺が倍増していること、金融業界へのサイバー攻撃による利用者の不利益を挙げ、急速なキャッシュレス化に反対している。また、銀行に現金サービスの提供を義務付ける法案の議会提出も検討されている。スウェーデン政府は2018年、災害や戦争に備えて、念のため現金を保有しておくことを推奨するパンフレットを、全家庭に配布している。 その他、デンマーク(通貨はデンマーク・クローネ)、ノルウェー(通貨はノルウェー・クローネ)、アイスランド(通貨はアイスランド・クローナ)、フィンランド(通貨はユーロ)といった北ヨーロッパ諸国で、同様にキャッシュレス化が著しい傾向にある。
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