ジャイナ論理学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/14 05:28 UTC 版)
詳細は「アネーカーンタヴァーダ」、「スヤードヴァーダ」、および「ジャイナ哲学」を参照 ジャイナ教は基本的な認識論的問題に専心することで、つまり、知識の本性、知識を得る方法、知識を確かなものにする方法といった問題に専心することで論理学の主潮の発展に独自の貢献を成した。ジャイナ論理学は紀元前6世紀から紀元後17世紀まで発展・興隆した。ジャイナ教徒によれば、究極的な原理は常に論理的であるはずで、論理や理性なしにいかなる原理も存在しえないという。それゆえジャイナ教の教典からあらゆる事実に関するあらゆる命題についての熟慮された教訓を見つけたとき、それは建設的であるか妨害的であるか、推論的であるか分析的であるか、啓蒙的であるか破壊的であるという。この過程の中で、ジャイナ教徒は論理と推論に用いた以下の相対性の教義について述べた。 アネーカーンタヴァーダ– 相対主義的多元論あるいは多数の理論 スヤードヴァーダ– 条件づけられた叙述の理論 ナヤヴァーダ– 部分的な観点の理論 こういったジャイナ哲学の概念によって古典時代のインド哲学の、特に懐疑主義や相対主義といった領域でのほとんどの重要な業績が作り上げられた。 以下はジャイナ論理学に貢献したジャイナ哲学者のリストである。 クンダクンダ(2世紀)、ジャイナ神秘主義とジャイナ・ナヤの代表者で魂の本性や魂の物質による汚染といった問題を扱った。『パンチャースティカーヤサーラ』(五つの存在の精要)、『プラヴァチャナサーラ』(聖典の精要)、『サマヤサーラ』(教理精要)の著者。 ウマースヴァーティあるいはウマースヴァーミ(2世紀)、サンスクリットで書かれた最初のジャイナ教書『タットヴァールタスートラ』の著者で、ジャイナ教の全宗派に受け入れられる最も体系的な形でジャイナ哲学を詳説した。 シッダセーナ・ディヴァーカラ(5世紀)、ジャイナ論理学者で、論理学書の『ニヤーヤアヴァターラ』、ジャイナ教の七つの観点や知識、知識の対象を扱った『サンマティスートラ』といった著作をサンスクリットおよびプラークリットを用いて著述した。 ハリバドラ(8世紀)、ジャイナ思想家・著述家で、ジャイナ教の文脈における瞑想の救済論的な体系としての古典的ヨーガとアネーカーンタヴァーダの唱道者。彼の著作には『サッダルシャナサムッチヤ』と『ヨーガビンドゥ』がある。 ヘーマチャンドラ(1089年–1172年) - ジャイナ思想家・著述家・歴史家・文法家・論理学者。彼の著作には『ヨーガシャーストラ』と『トリシャシティシャラカプルシャチャリトラ』がある。 ヤショーヴィジャヤ・ガニ(1624年–1688年)– ジャイナ論理学者でジャイナ哲学に貢献した知的巨人とされる。 アーチャーリヤ・マハープラギヤ(1920年–2010年)– ジャイナ論理学者でジャイナ哲学に貢献した知的巨人あるいは生きた百科事典とされた。著名な哲学研究者ダヤ・クリシュナはアーチャーリャ・スリ・マハープラギヤをジャイナ論理学の分野において最も見識高い人物とみている。彼の著書『ジャイナ論理学における新次元』は現代のこの分野における最高の作品の一つである。アーチャーリャ・マハープラギヤは啓蒙活動でも知られる。1975年には、彼はジャイプールのラージャスターン大学でジャイナ論理学に関して九回の講義を行うために特別に招かれた。ラージャスターン大学はこの講義を『ジャイナ・ニヤイ・カ・ヴィカ』という書籍として出版した。彼のジャイナ論理学に関する著作には『ジャイナ・ダルシャナ―マンナン・アウル・ミーマンサー』、『ジャイナ・ダルマ・アウル・サンスクリティ』、『ジャイナ・ダルシャナとアネカーンタヴァーダ』、『ジャイナ・ダルマ・アウル・ダルシャナ』、他多数がある。彼の著作には説明の簡潔さと独自性の独特な結合がみられる。
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